たびたび報道される大型車の車輪脱落事故。昨年は120件発生したとされるが、住友ゴム工業が開発した『車輪脱落予兆検知システム』が、このほどいすゞ自動車の大型トラック「ギガ」に標準装備された。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部、住友ゴム工業
車輪速データと車両制御データを独自アルゴリズムで解析
この『車輪脱落予兆検知システム』は、住友ゴム工業が独自に開発したソフトウェア技術のひとつで、タイヤが転動することで発生する車輪速データと、車載通信ネットワーク(CAN)上にある車両制御データを独自アルゴリズムによって解析し、ホイールナットの緩みが発生していることを検知する。
同社では、この車輪脱落予兆検知をはじめ、車輪速データとCANデータから『タイヤ空気圧』『タイヤ摩耗状態』『タイヤ荷重』『路面状態』などもセンシングするソフトウェア技術を開発しており、総称して「センシングコア」と呼んでいる。
いすゞは、センシングコアの機能のひとつである『車輪脱落予兆検知』を、先ごろ発売したギガ2026年モデルに採用した(他のセンシングコア機能は実装していない)。走行中のホイールナットの緩みを検知した場合は、メーターパネル内のディスプレイに警告表示するとともに、ブザー鳴動でドライバーに注意を促すようになっている。
これにより、従来の運行前点検や経験的な違和感で察知することに加えて、ナットの緩みを察知できる手段が増えるため、車輪脱落事故の予防に貢献できるとしている。また、上記の通り車輪速データとCAN車両制御データを独自に解析する技術であるため、ホイールへのセンサー装着は不要である。

なぜ起きるホイールナットの緩み
国交省によると、2024年度だけで大型車の車輪脱落事故が120件発生したが、発生時期は11月~2月に集中しており、多くは冬用タイヤ交換後1ヵ月以内で事故が発生、人身事故も起きている。
その原因は、タイヤ交換時の作業が不適切であったこと、また日常点検・定期点検の不備、ホイールボルト・ナットの点検や増し締めが不適切あるいは無実施など、人為的なミスによるものがほとんどとされる。
また、ナット締め付け方向がJIS方式とISO方式で違い、ナット座面の形状も異なるなど、締め付け方式が統一的ではないことも問題視されている。
【画像ギャラリー】いすゞギガに採用された住友ゴムの独自技術『車輪脱落予兆検知システム』(4枚)画像ギャラリー





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