米国では事業化に向けた動きが活発になっている自動運転による「無人トラック」だが、自動運転企業のコディアックAIと自動車部品サプライヤーのZFがパートナーシップ拡大を発表した。
ZFはコディアックのドライバーレス・トラック向けに、100台分の冗長ステアリングシステムを供給するという。ステアリングの電子化や次世代電動パワーステアリングなどの技術を保有するZFは、スケーラブルな自動運転トラックを実現する上で重要な役割を果たしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ZF Friedrichshafen AG・Kodiak AI, Inc.
ZFが「無人トラック」専用部品を供給
AIによる自動運転技術を開発しているコディアックAI(米国)は、2025年11月4日、自動車部品の世界的な大手メーカーとなっているZF(ドイツ)とのパートナーシップ拡大を発表した。
発表によると、コディアックの大型トラック自動運転システム「コディアック・ドライバー」搭載車向けに、ZFが冗長コンポーネントを備える専用のステアリングシステム100台を供給するという。
人間が搭乗しない無人のドライバーレス・トラックの実現を目指すコディアックは、2025年始めからこうした冗長ステアリングシステムをコディアック・ドライバー搭載車に統合している。
ZF商用車ソリューション事業部のアプリケーション・エンジニアリング責任者であるプラフル・バリ氏は次のようにコメントしている。
「ZFは冗長化されたコンポーネントを組み込んだフェールセーフ機能を備えるステアリングを実用化し、安全性と精度の向上、AIによる自動運転の実現などを目指しています。これにより商用車の自動運転という革新的なソリューションを提供します。
そのためには冗長構成のReAXや、適応的電子ステアリングアシストシステム、次世代電動パワーステアリングといった最先端の技術開発を進める必要があり、パートナー企業と共に自動運転モビリティの新たな可能性を追求しています」。
ステアリングシステムの開発を通じてコディアックを支えるZFだが、柔軟な製造システムにより、同社専用となるステアリングシステムの生産体制を迅速に構築することができたという。
ZFの「ReAX」ステアリングと、「コディアック・ドライバー」を搭載するトラックは、製造パートナーであるラウシュ(Roush)社が米国ミシガン州の工場で製造している。
故障時も安全性が保障されるフェールセーフ機能が重要に?
今日の自動車は走るコンピューターともいわれるが、最後まで電子化されずに残った主要コンポーネントがステアリングだ。
自動運転技術を実用化し、ドライバーの乗らないトラックを安全に運行するには、ステアリングを電子化し、異常発生時も代替システムに切り替わるフェールセーフ機能を実現する必要がある。
安全な自動運転のために不可欠となっているステアリングの技術革新は、コディアックの自動運転プラットフォームにおいても重要な構成要素で、2024年1月に登場したコディアックの第6世代無人トラックは、ZFの冗長ステアリングアクチュエーターを採用していた。
プライマリ・アクチュエーターが故障した場合、トラックはセカンダリ・アクチュエーターにシームレスに切り替え、コディアックの仮想ドライバー(自動運転システム)が車両の制御を維持する。
自動運転トラックを(安全のために)有人で運行していては、人手不足への対応や効率化といったメリットが得られない。技術実証を超えて普及を目指すなら、異常発生時もこうしたフォールバックを通じて無人トラックの安全な運行を支える仕組みが重要になる。
コディアックのハードウェア担当副社長、ジェイミー・ホファカー氏は次のように話している。
「プラフル氏とZFのチームは、当初から素晴らしいパートナーでした。そしてたゆまぬ努力を続けた結果、冗長性を備えた自動運転システムの安全基準を満たすコンポーネントを開発しました。これは弊社がまさに必要としているものです。
こうしたイノベーションは、セミトレーラ連結車をドライバーレスで運行する事業を商用化する際に極めて重要であり、商用車の自動運転において安全性・効率性・環境性の向上に貢献しています」。
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