いすゞも出資するガティックがAI自動運転トラックで史上最大規模の契約! 将来的に無人運行も予定!?

いすゞも出資するガティックがAI自動運転トラックで史上最大規模の契約! 将来的に無人運行も予定!?

 いすゞ自動車やエヌビディアと提携し北米を拠点に中型トラックによる地場~短距離輸送の「レベル4」自動運転を目指しているガティックは、カナダの小売り大手・ロブローとの5年契約を発表した。

 2025年から2026年末までに合計50台の自動運転トラックを商用展開するといい、これは同種の契約として過去最大規模となる。カナダでもドライバー不足が深刻化しているそうで、当初は安全のために人間のドライバーが搭乗するが、将来的にはAIによる無人運行を計画している。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Gatik Inc.

ガティックとカナダの小売り大手が自動運転トラックで5年契約

いすゞも出資するガティックがAI自動運転トラックで史上最大規模の契約! 将来的に無人運行も予定!?
カナダの小売り最大手ロブローとガティックが自動運転トラックを大規模に商用展開する

 AI(人工知能)技術によるトラックの自動運転を目指している米国のガティックには、いすゞ自動車が出資し資本業務提携している。同社は2025年9月23日、カナダでスーパーマーケットなどをフランチャイズ展開する同国の小売り最大手、ロブロー・カンパニーズとの提携を大幅に拡大すると発表した。

 米国のほかカナダにもオフィスを構えるガティックは、主に中型トラックによる短距離輸送での自動運転を目指しており、高速道路を使った大型トラックの自動運転を目指す他社とは異なるアプローチを採用している。

 カナダのグレーター・トロント・エリア(GTA=オンタリオ州トロントを中心とする人口650万人の大都市圏)でのスーパーの配送にガティックの自動運転トラックを導入する5年契約で、最初の2年で50台の投入し商用運行するという。

 自動運転技術で先行する北米市場における導入計画としても過去最大規模であり、複数年に渡る成長契約も初めてとのことで、トラック輸送の自動化を実現する上で画期的な出来事となりそうだ。

 初期段階としては2025年末までにガティックの次世代センサースイートを搭載する20台の自動運転トラックを展開し、2026年末までに追加で30台を投入する。これにより自動化された物流が成長フェーズに入るまでに、スケーラブルなプラットフォームを構築する。

 当初は安全のためのドライバーを搭乗させるが、GTAに300店舗を展開するロブローの地域配送ネットワークにおいて、貨物専用車を無人で運行することを目指している。

 なお、2022年にカナダ初の自動運転トラックの導入を発表したのも両社だった。新たなパートナーシップのもと、ロブローはガティックに戦略的投資を行なうことにしており、ガティックのCEOで共同創業者のガウタム・ナラン氏は次のようにコメントしている。

「これはガティックとロブローだけでなく、世界の自動運転トラック業界にとって画期的な瞬間です。大手小売業者が自動運転トラックを商業規模で展開するのです。試験段階を通過し、大規模に商用化するのは世界で初めてです。

 カナダで深刻化しているドライバー不足に直接的に対処するとともに、信頼性、安全性、拡張性など自動化された物流がもたらす真の利益を、カナダの数百万人の消費者に提供します。

 ロブローの投資は、弊社のAIドライバーを強力に支持するものです。私たちの技術は公道において長い距離を極めて安全に走行したという実績をもっています。ガティックはインテリジェントな自動運転ソリューションを通じて地場輸送に革命を起こします」。

新たな枠組のもとオンタリオ州で有利な立場に?

いすゞも出資するガティックがAI自動運転トラックで史上最大規模の契約! 将来的に無人運行も予定!?
ガティックはエヌビディアやいすゞと提携し、「レベル4」自動運転トラックの量産を目指している

 いっぽうロブローの責任者のロブ・ウィーブ氏は次のように話している。

「パートナーシップの拡大とガティックへの投資は、イノベーションとサプライチェーンの持続可能性に対する私たちの取り組みを表したものです。自律的な物流により、もっと多くの荷物を、もっと頻繁に動かすことができるようになり、お客様の利益に繋がります。

 ガティックの画期的な技術は既に弊社の事業全体で実証されており、我が国の小売業界を引き続きリードできることを大変嬉しく思っています」。

 この提携でもガティックの独自技術であり、安全で、スケーラブルで、理解可能なAIドライバー「ガティック・ドライバー」が活用される。いっぽう、新たに導入する車両にはコールドチェーン対応車両(冷凍冷蔵車)が含まれ、時間的制約のある食料品や家庭用品の輸送に最適化される。

 ガティックとロブローはオンタリオ州の運輸当局と緊密に連携しており、今年8月から新たな規制の枠組みがスタートした。

 新プログラムでは州内の全ての一般道路と高速道路でガティックの中型トラック(クラス6~7)を自動運転することが可能になった。同州で有利な立場に立った両社はGTA地域での事業拡大を通じて全国の交通イノベーションをリードしていくという。

 ガティックはトロントなど商業的に密集した地域を戦略的に定義しており、高頻度な輸送ネットワークに注力している。また人流(バス)を排除し、物流専用車とすることで無人運行も視野に入れたトラックを北米市場で展開している。

【画像ギャラリー】「レベル4」中型トラックの量産を目指すガティックの自動運転トラック(11枚)画像ギャラリー

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