輸出入に活用されている国際海上コンテナ(海コン)の内部は、夏場は灼熱の環境となる。人手に頼ったバンニング(積み込み)やデバンニング(荷降ろし)は、作業員にとって過酷な労働だ。
労働環境の改善に向けてニトリグループはXYZロボティクスのデバンニングロボット「RockyOne(ロッキーワン)」の実証実験を開始した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ニトリホールディングス・XYZ Robotics
ニトリとXYZがデバンニングロボットの実証実験
ニトリホールディングスと、同グループで物流事業を手掛けるホームロジスティクス、および移動型作業ロボットのXYZ Roboticsは2025年6月25日、ホームロジスティクスが運営する幸手DCにおいて、XYZ Roboticsが開発したデバンニングロボット「RockyOne(ロッキーワン)」の実証実験を開始したことを発表した。
物流業界では、庫内のマテリアルハンドリングや倉庫管理システムなどの自動化が進むいっぽう、負担が大きいコンテナのバンニング(コンテナやトラックの荷台に荷物を積み込むこと)やデバンニング(同荷降ろし)作業は依然として人手に頼っている。
現場の労働環境改善のために自動化が大きな課題となっており、今回の実証実験では、特に重労働であるデバンニング作業の自動化を通じて労働環境の抜本的な改善と、省人化による生産性向上を目指す。
家具大手のニトリグループは、2024年度実績で年間15.5万TEUもの輸入コンテナを取り扱っている(コンテナの取扱量を表す「TEU」は20フィート海上コンテナに換算した量)。輸入したコンテナの大半は自社倉庫で保管し、日々デバンニング作業を行なっている。
このデバンニング作業だが、特に夏場はコンテナ内の温度が非常に高温になり、作業員にとっては過酷な環境となる。ニトリでは大量の家具や雑貨類を扱うため5~6名1チームで対応しているそうだが、人手による作業には相応の負担が伴う。
今回導入したXYZ Roboticsのロッキーワンは、AIカメラによる自動判別とモーションプランニング技術(ロボットや機械が安全かつ効率よく動くための動き方や経路をあらかじめ計画する技術)を活用し、ロボット単独でのデバンニング作業を想定している。
実証実験では従来は5~6名で行っていた荷降ろし作業を、ロボットと積み付け作業員3~4名で実施できるかを検証する。
これにより必要人員が減り、過酷な労働環境をロボットが代替することで労災リスクの低減が期待できるほか、作業員が集まりづらい夜間帯もロボットは稼働できるため、在庫補充作業の効率化やバース回転率の向上も見込めるという。
各社は今後も最先端技術の活用と現場課題の解決を通じて、より効率的で持続可能な物流体制の構築を目指すとしており、約1か月にわたる実証実験で得られた知見を活かし、さらなる自動化・効率化や、業界全体の課題解決にも取り組んで行くことにしている。
【画像ギャラリー】XYZロボティクスの「ロッキーワン」とホームロジ幸手DC(4枚)画像ギャラリー
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