「2024年問題」で労働時間の短縮を求められ、トラックを停めなきゃいけないけど、大型車を停められる場所はない。そんなトラックドライバーの悩みを解決するかもしれない「物流課題対応型 自走式立体駐車場」を大和ハウスが開発した。
サービスエリアや物流施設などの限られた敷地を効率的に利用し、大型車11台・乗用車140台の駐車スペースを備える立体駐車場は、休憩所のほか、トイレ、シャワー室やフォークリフト用のスペース、さらに荷の積み替えスペースまで確保可能だという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/大和リース株式会社
大和リースが「物流課題対応型 自走式立体駐車場」開発
大和ハウスグループの大和リース株式会社は、1階部分に大型車専用駐車スペース、2階以上に普通乗用車専用駐車スペースを設けた「物流課題対応型 自走式立体駐車場」を開発し、11月20日より販売を開始した。
近年、EC(電子商取引)市場の普及に伴い、宅配便の取り扱い個数などは増加が続くいっぽうで、物流・運送業界ではトラックドライバーの時間外労働の上限規制による「2024年問題」など、労働環境改善が求められている。
また、「改善基準告示」による「430休憩」(4時間の連続運転につき30分以上の休憩)など、トラックドライバーには法律による休憩も義務付けられている。しかし、大型車を駐車できるスペースは非常に少ない。
さらに、荷主の工場や倉庫に大型車を駐車できるスペースがなく、着指定時間に合わせるため高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで時間調整するしかないというケースも多く、SA・PAは大型車の長時間駐車が当り前のようになっている。
その結果、普通車のスペースに大型車を停めたり、トレーラ用スペースに単車トラックを停めるなど駐車枠の違反も慢性化している。
高速道路のSA・PAの大型車駐車マスは、平日では全体の5~7割で不足しているそうで、法律が求める運行を行なう上で、大型車を駐車できるスペースは全く足りていないのが現状だ。
限られた敷地のなかで駐車枠を大幅に拡充するには立体化するしかなく、駐車スペースの効率的な利用を実現するため、大和リースは「物流課題対応型 自走式立体駐車場」を開発した。
限られた敷地に駐車スペースを確保する5層5段の立体駐車場
物流課題対応型 自走式立体駐車場は5層5段で、1階部分に大型車11台分の駐車場を備える。2~5階は乗用車140台分の駐車スペースだ。
エレベーターやドライバー用の休憩所は標準機能となるほか、トイレ・シャワー室、EV充電器、太陽光パネル、トラック積み替え用のフォークリフトスペースなどをオプションで用意する(大型車駐車場の後ろに積み替えスペースを確保できる)。延床面積は約6900平方メートルだ。
高速道路のSAのほか、運送事業者、倉庫、製造業(荷主)などで駐車スペース不足の解消を図ったとのことで、休憩施設(シャワー室・トイレ・休憩所)の設置によりトラックドライバーの労働環境改善にも効果が期待できそうだ。
休憩室、シャワー室、洗車場、積み替えスペースなどは様々なレイアウトが可能で、太陽光発電システムを導入することでCO2排出削減、BCP対策など事業者の企業価値の向上にもつながる。
国土交通大臣認定駐車場であれば、防火設備の要件緩和や建築確認申請の迅速化が期待でき、工期短縮やコスト削減が可能。さらに津波や豪雨災害の避難場所としての活躍なども期待できるといい、大型車の駐車スペースを備えた「物流課題対応型 自走式立体駐車場」の活用が広がるかもしれない。
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