ここにきて新型トラック続出中のヨーロッパ。最新の「インターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー(IToY)2022」にオランダDAFの新世代モデルが輝いたことは既報のとおりだが、昨年のIToY2021を受賞したドイツMANの新世代モデルもなかなかのもの。
ここでは20年ぶりのフルチェンを果たしたドイツMANの新世代シリーズを徹底解説しよう!!
文/多賀まりお、トラックマガジン「フルロード」編集部
※2020年3月10日発売「フルロード」第36号より
中大型トラックシリーズを
20年ぶりにフルモデルチェンジ!!
ドイツのトラックメーカー、MANは2020年2月に20年ぶりとなる中大型トラックシリーズのフルモデルチェンジを実施。新世代モデルシリーズとして発表した。
「マシネン・ファブリーク・アウグスブルグ・ニュルンベルグ」の略称であるMAN(読み方はマンではなくエム・エー・エヌ)は、ルドルフ・ディーゼル博士とともに世界初のディーゼルエンジンを開発したエンジンメーカーの老舗。
ドイツではダイムラーに次ぐ2番目のシェアを有し、現在はスカニアとともにフォルクスワーゲン傘下の商用車グループ「TRATON(トレイトン)」の一員だ。
4モデル構成を引き継ぎつつ
キャブの内外装を一新!!
新世代シリーズは、従来と同じく4つのモデルで構成され、GVW18~41tの大型車がフラッグシップの「TGX」と汎用の「TGS」。
中大型のセグメントをカバーするのはGVW12~26tの「TGM」と、7.5~12tの「TGL」という陣容。なおTGMとTGLの生産はオーストリアのシュタイア社が担当する。
内外装を一新したキャブは、モジュラー設計による8種類を擁し、TGX系以外は2.3m幅。2.5m幅はすべてトンネル段差約80mmのスリーパーキャブで、3種類のルーフ高を設定。2.3m幅はスリーパーのほかデイキャブ、ショートキャブ、ダブルキャブも用意する。
エンジンラインナップはこれまで同様の4系列。15.2LのD38型はTGX専用で、12.4LのD26型、9.0LのD15型はTGXとTGSに展開。TGMとTGLには、モジュール設計で4気筒が4.6L、6気筒が6.9LのD08型を搭載する。
IToY2021も受賞した
フラッグシップのTGX
フラッグシップのTGXは12.4LのD26型エンジンをメインに搭載する長距離輸送用セミトラクタ。540~640PSを発揮する15.2LのD38型エンジンにより、大量高速輸送や重量物輸送にも対応する。
内外装を一新したキャブは、スリーパーキャブのみで2種類のハイルーフと、標準ルーフを設定。新デザインのインパネはデジタル化され、メーターパネルと右サイドのインフォメーションパネルはともに12.3インチの液晶画面となっている(オプション)。
ダイヤルとボタンを組み合わせた情報機器の操作スイッチは乗用車ではお馴染みのもの。AMT「ティップマチック」の操作レバーは右側のステアリングリム直下に配置され使い勝手を高めている。
このほか、空力性能の向上と、GPSと3次元マップによるAMTの予測制御「エフィシエントクルーズ」を始めとする制御系の改良で最大8%の燃費向上を実現しているという。
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