元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.15
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寄稿・連載
トラックドライバーの誇り その13
もう今までの説明ですでにお分かりいただけたと思う。力積とは、衝突した後も押し続ける力のことであって、回りくどく説明したけれども簡単なことなのだ。当然のことながら、この押し続ける力は破壊力が大きいほど増す。つまり、トラックの方が乗用車よりもより強く働く。だからこそ、事故率が低いのに死亡事故率が高くなってしまっている。
ここで、もう一度話を原点に戻したい。数字の見直しである。
比率とあるのは、対乗用車比率である。
1億km走行距離時での事故発生件数
自家用乗用車 事業用トラック 比率
約115件 約 49件 42.6%
同じく1億km走行での死亡事故件数
自家用乗用車 事業用トラック 比率
約0.63件 約0.81件 129%
そして、平成22年度の統計です。
1億km走行距離での事故発生件数
自家用乗用車 事業用トラック 比率
98.93件 33.65件 34%
同じく死亡事故件数
自家用乗用車 事業用トラック 比率
0.47件 0.53件 113%
比率に関しては、ほとんど割りきれないので一番近い数字を書いています。 この数字を眺めていると、いろんなことが見え来ないでしょうか。乗用車も事故件数、死亡事故件数とも大幅に減っています。そして、何よりもトラックの方が減少率が大きいのにも気がつくはずです。 そして、その時期を考えるとちょうど私が統計を最初に調べた平成17年からなのです。その頃、エコ運転が推奨され、実行に移す個人、企業が多かったのです。その中でもとりわけトラックがエコ運転の優秀さを褒められていました。
その運送会社が取り入れたのが、デジタコであり、速度を抑制することによる燃費の節約だったのです。
つまり、速度の抑制が、破壊力=重量×速度 の、一方の速度を抑えた結果、事故も死亡事故も大幅に減少したと言えると思います。だけど、それだけでは、今後も減り続けるとは考えられないのも事実だと思います。 そして、会社が経済的な事情により、結果として 表れた事故および死亡事故率の減少で、ドライバーは満足でしょうか? それが、本当の意味の誇りといえるでしょうか? 次回以降、もう少し掘り下げたいと思います。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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