【ガリガリ君14万2848本搭載!!】みんな大好きガリガリ君!! -30℃の旅は全長21mのフルトレーラが支える

【ガリガリ君14万2848本搭載!!】みんな大好きガリガリ君!! -30℃の旅は全長21mのフルトレーラが支える

 ガリガリ君と言えば老若男女問わず、ついついガリガリとかじって食べたくなるアイスだろう(正確には”氷菓”に分類される)。

 そんなガリガリ君、実は工場からは大型トレーラに乗ってやってくるのだが、なんとガリガリ君を運ぶ大型トレーラは一度の配送で約14万本のガリガリ君を運送するという!! 

 ベストカーのトラックマガジン『フルロード』編集部が徹底取材したガリガリ君トレーラに迫ろう!!

【トラックマガジン『フルロード』って!?】

 正統派トラックマガジンとして大好評のフルロード。ベストカーの姉妹誌として新型車のレポートのみならず、トラック用タイヤ、運輸業界などをお伝えする専門誌。
 
 トラックファンのみならずドライバー、そして運送業者にも愛読者が多い、まさにトラック愛にあふれた媒体です。3月、6月、9月、12月の季刊で10日に発売(定価1400円)。

文/写真:フルロード編集部
「フルロード」2019年3月11日発売号


■連結全長21mの日本初の冷凍フルトレーラ、猛暑の需要増にもお任せあれ!

 トラックドライバー不足が深刻化する中、圧倒的な輸送力を誇るフルトレーラが注目されている。フルトレーラとは、けん引装置を備えたトラック(フルトラクタ)がけん引するトレーラのこと。

 2013年11月に連結全長が19mから21mに緩和され、さらに2019年1月に25mに緩和されたことで、フルトラクタとフルトレーラの1セットで、トラック2台分の荷物を運べることから、「ダブル連結トラック」などとも呼ばれている。

連結全長21mのタイセイの冷凍フルトレーラ。前も後ろも冷凍仕様のフルトレーラは日本初だ

 今回紹介するのは、そのフルトレーラの中でも、前も後ろも冷凍仕様という日本初の連結全長21mのフルトレーラだ。

 運ぶのは「ガリガリ君」で知られる赤城乳業の製品で、運行しているのは埼玉県戸田市に本社のある冷凍輸送専門のタイセイである。

 タイセイによると、この車両を企画した3年前の夏も猛暑で、「ガリガリ君」をはじめ赤城乳業の仕事が大忙しだったという。

 ただ、いくらドライバー不足といっても従業員に無理をさせることはできない。そこでタイセイでは、「フルトレーラなら1人の人間で大量の製品が運べるのではないか」と考えて開発がスタート。

 フルトラクタは、いすゞギガの低床4軸(8×4)ショートキャブ380馬力エンジン搭載のフルトラクタで、最大積載量は1万2700kg、全長11.9m。

 いっぽうフルトレーラは、日本トレクスのセンターアクスル式フルトレーラで、最大積載量は1万2200kg、全長10.67m。

 前と後ろを合わせた連結全長は20.98mで、積載可能なパレット数は、フルトラクタ側が9枚×2列の18パレット、フルトレーラ側が7枚×2列の14パレットで、合計32バレット。

フルトラクタの庫内。設定温度は-30℃で、フルトレーラも同じ設定。徹底した衛生管理や作業時の安全性などにもタイセイならではのこだわりが随所に見られる

■4608ケース、14万2848本のガリガリ君は-30℃で旅に出る!!

 ちなみにガリガリ君の荷姿は、ソーダ味ならソーダ味のガリガリ君が 31 本入りで1つのケースに入っているそうだ。

 1パレットに144ケース載せているので、単純計算でフルトレーラには 32 パレット、4608ケース、 14 万2848本 のガリガリ君が積載されているということになる。

フルトラクタ側に18パレット、フルトレーラ側に14パレットの計32パレットの積載能力を誇る。まさに大型トラック2台分だ

 フルトレーラのメリットのひとつは、連結状態でなくても運行できること。冬場など冷菓の需要が少ない場合は、後ろのフルトレーラを切り離せば、前のフルトラクタだけでも運行が可能である。

 つまりフルトラクタといっても、普通のリジットトラック(単車ともいう)として使えるのだ。

 タイセイでは、このガリガリ君フルトレーラを開発するにあたって、いすゞ自動車や架装メーカー、冷凍機メーカーと何度も設計の検討を重ねたという。

 たとえば、将来の長距離輸送を睨んでフェリーに乗船できるかどうかを検証したところ、傾斜があると連結部が折れるので、フェリーのランプウェイにトレーラの車体底部が干渉してしまうことが判明。

 そこでトラクタ側とトレーラ側の箱の高さを変えることで、この問題をクリアしたという。  

ガリガリ君や氷菓のとっての運送時の生命線は温度管理と言っても過言ではない。フルトラクタ、フルトレーラのそれぞれの庫内温度や管理状況を確認できる運転席に設けられた集中コントロール

 また、ガリガリ君など氷菓を輸送するときの庫内温度は-30℃設定で、冷凍性能と省エネ性に優れる新型冷凍機を搭載したほか、バンの庫内には結露防止シートを張り、後方にはパレット落下防止ランプを設置。

 トレーラのスムーズな脱着のため、連結の配管や配線8本を1本に集中化し、電動補助脚も採用している。

 加えて、いすゞの商用車テレマティクス「MIMAMORI」のオプション機能である「温度お知らせサービス」によって、車両運行や動態管理とともに、庫内の温度管理も本社のオペレーションコントロールセンターや各営業所で行なっている。

 タイセイでは、運転技術と知識向上のため自社で「ドライバーコンテスト」を実施するほど安全運転教育に力を入れており、今回のフルトレーラの導入に際しては、ドライバーに習熟運転を徹底。車両も最新の先進安全装置を装備している。

 連結全長21mのガリガリ君フルトレーラは、当面のところ赤城乳業の本庄工場と所沢にあるセンター間を1日2往復しており、同じ埼玉県内なので片道1時間ほどの運行だという。

 いずれにしても、トラックドライバー不足の昨今、ガリガリ君をでっかく運ぶ冷凍フルトレーラは期待のエースといった存在だ。

フルトレーラを上から見ると、スティックには「当たり」の文字が……。遊び心溢れるボディマーキングはガリガリ君プロダクションが担当したそう 。約14万本のガリガリ君のなかに当たりは何本あるのだろう……

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