排気量は小さくても走りは軽快!? エルフと同じ3Lエンジンを搭載するいすゞ「フォワード」4JZ1型エンジン搭載車の実力を検証!!!

排気量は小さくても走りは軽快!? エルフと同じ3Lエンジンを搭載するいすゞ「フォワード」4JZ1型エンジン搭載車の実力を検証!!!

 いすゞ自動車の中型トラック「フォワード」に新たに設定された4JZ1型エンジン搭載車は、小型トラック「エルフ」で実績を持つ3.0Lのダウンサイジングエンジンを搭載することで軽量化=積載量アップを実現。一体どんな走りを見せるのか? 多賀まりお氏に徹底試乗してもらいました。

文/多賀まりお、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

200〜300kgの積載量アップをもたらす3.0Lエンジン

フォワード4JZ1型エンジン搭載車。エントリーモデルらしくショートキャブ(標準幅/ワイド幅)のリーフサス仕様のみの設定となる
フォワード4JZ1型エンジン搭載車。エントリーモデルらしくショートキャブ(標準幅/ワイド幅)のリーフサス仕様のみの設定となる

 いすゞは2023年8月に「フォワード」の16年ぶりのフルモデルチェンジを実施。続いて25年11月に先進安全装備の拡充とともに、GVW7.5/8.0トン級のリーフサスペンション仕様ショートキャブ車に排気量3Lの4JZ1-TCH型エンジン搭載車を追加設定した。

 組み合わせるトランスミッションはデュアルクラッチ式9段自動変速機「ISIM」と6段マニュアルの2タイプである。

 排気量3L(2999cc)の4JZ1型、フォワードで主力の4HK1型(5193cc)に対して約2.2Lのダウンサイズとなり、車型と架装により約200〜300kgの積載量アップをもたらすことから、GVW8トン級でも比較的負荷の低い用途で活躍が期待できる提案性の高い中型トラックである。

充実の先進安全装備を標準装備

23年のフルモデルチェンジで質感を向上した室内。メーターパネル中央には7インチのディスプレイを配置し、先進安全装備や車両情報の表示が可能
23年のフルモデルチェンジで質感を向上した室内。メーターパネル中央には7インチのディスプレイを配置し、先進安全装備や車両情報の表示が可能

 今回試乗したのはGVCW8トン級の4JZ1型+ISIM仕様。標準(2.12m)幅のショートキャブ。中型車のエントリーモデル的な4JZ1型搭載車は装備が一部簡略化され、シート表皮やフロアマットはビニール製。運転席のエアサスシート、オートエアコン、電動パーキングブレーキなどはオプションとなっている。

 とはいえアイドリングストップ・スタート機能をはじめ、先進安全装備もプリクラッシュブレーキ、左折巻き込みブレーキ、車線逸脱警報など9つのデバイスからなる「ベーシック」パッケージを標準装備する。

 シートの調整機能は潤沢で座面の全体と角度を独立して調節可能。ステアリングコラムのチルト/テレスコピック調整機能とともに幅広い体格に対応。運転席ドアに置かれた助手席側電動格納ミラーの操作スイッチもとても使いやすかった。

 なお、4JZ1型搭載車は回転系のレッドゾーン表示が3900rpm以上と、4HK1型の3000rpmよりも高く、小排気量エンジンらしい回転域の広さをうかがわせる。シフトパターンは中型車では珍しいPレンジ付き。それ以外は4HK1型のスムーサーFxと同じで、メインのシフトゲート右側にマニュアルモード用のゲートが備わる。

予想以上に余裕を感じる走行性能

ISIMは高回転まで引っ張らず、頻繁にシフトアップ。変速時間はごく短く、ギア比が近接していることもあって加速が途切れない印象だ。3Lエンジンの出力は限られるが、トルクを有効かつ効率よく引き出す巧みな変速制御により走りは軽快に感じられた
ISIMは高回転まで引っ張らず、頻繁にシフトアップ。変速時間はごく短く、ギア比が近接していることもあって加速が途切れない印象だ。3Lエンジンの出力は限られるが、トルクを有効かつ効率よく引き出す巧みな変速制御により走りは軽快に感じられた

 Dレンジに入れてパーキングブレーキレバーをおろし、ブレーキから足を離すとクリープトルクによって車両はゆっくりと動き出す。温感時のアイドリング回転数は600rpm強。空荷状態だった今回の試乗ではクリープはやや強めに感じられた。

 流体継手は走り出すとすぐにロックされ、走行中のダイレクト感はマニュアルクラッチ車と変わらない。Dレンジではギア段表示機能が働かない(マニュアルモード時のみ表示)が、発進段は2速の様子。実際には積載状態を類推して発進段を決める制御が備わる。

 アクセルを軽く踏み込み、平坦路を周囲の交通の流れに沿って走る状況では1500〜1800RPMほどで3速、4速とシフトアップしていく。変速の頻度は高いが、DCTによって瞬時で完了するため気にならない。ギア比が近接しているため、シフトアップ後の回転数の落ち込みも少なく、加速が途切れずに続く感覚だ。

 排気量が小さいエンジンを低〜中回転域に保つため、室内の振動騒音が少ないのも印象的だった。

 ISIM搭載車の最終減速比は5.571が標準と深めで、9速には車速50km/hほどで到達。そこからの車速低下〜再加速時も負荷が軽ければ1000rpm前後までシフトダウンせずによく粘る。坂道発進や強い加速を求める際など、アクセルを深く踏めば変速点は高まるが、2000rpmを大きく超えることはなかった。このあたりは定積状態で試してみたい。

 試しにマニュアルモードで高回転域まで引っ張ってみると、3000rpm以上では明らかにトルクが細くなるので回してもあまり意味がない。最高出力を発生する2680rpmを目安に早めにシフトアップしていったほうが力強く走れるように感じた。

 なお、少々気になったのは減速時で、排気ブレーキは備わるものの小排気量エンジン、それも低い回転数域からの作動では空車状態でも効きは限定的。ISIMは減速時の自動減段制御を持つが、再加速時のスムーズさが目的のようで、回転数上昇は穏やかだ。

 個人の感想だが、排気ブレーキ使用時にはその効果を発揮させるべく積極的なシフトダウンによって高い回転数域を保つ機能がほしいと思った。

 4JZ1型は豊かな中低速トルクを持つが、GVW8トン級の車体に対しては4HK1のような力強さは望めない。だが、試乗車はISIMによって限られたトルクを有効活用することで軽快な走りを実現し、予想以上に余裕を感じさせた。とりわけ積載量の少ない用途においては充分な実用性を持つように思う。

【画像ギャラリー】エントリーモデルだけど装備は充実! フォワード4JZ1型エンジン搭載車のディティールをチェック!(8枚)画像ギャラリー

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