トヨタが大型商用車向け燃料電池で協業へ! ダイムラー&ボルボの合弁企業「セルセントリック」への参画で基本合意

燃料電池はディーゼルを代替可能か?

トヨタが大型商用車向け燃料電池で協業へ! ダイムラー&ボルボの合弁企業「セルセントリック」への参画で基本合意
大幅な性能向上を目指しているセルセントリックの次世代型燃料電池システム

 燃料電池は大型商用車のパワートレーンとして本当に普及するのか? それを左右するのが容積・重量当たりの出力密度となる。

 大型トラックでBEVによるディーゼル車の代替が困難な理由は、軽油とバッテリーのエネルギー密度にある。軽油よりエネルギー密度の低いバッテリーだと、航続距離を延ばすと積載量が減り、積載量を確保すると航続距離が減るという背反関係があり、長距離輸送や重量物輸送などエネルギー集約的な分野と相性が悪いのだ。

 比重が小さくエネルギー密度の高い水素は、こうしたジレンマを解消する可能性を秘めており、それゆえに大型車のカーボンニュートラルでは「水素技術が本命」とされる。重さにしてわずか70kgの水素で、大型トラクタが1000km以上を走行可能だ(これはダイムラーが「GenH2」による公道走行で実証している)。

 ただし、(コスト、水素価格、耐久性などを度外視するとしても)車両単体のパフォーマンスがディーゼル車を超えるには、重量・容積の限られたスペースにシステムを納めた上で、出力をさらに高めて行かなければならない。

 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2025年2月に公開した「燃料電池・水素技術開発ロードマップ」では、新たに大型・商用モビリティの目標が設定されている。それによると容積1L当たりのFCシステム出力として次のような値が掲げられた。

現在 : 0.24 kW/L
2030年 : 0.60 kW/L
2035年 : 0.75 kW/L
2040年 : 0.80 kW/L

 ロードマップは総重量44トンのトラック(=欧州仕様の大型トラクタ)が2040年にディーゼルパリティ(ディーゼル車を完全に置き換え可能な要件)を実現するとしており、NEDOは大型車用燃料電池システムについてFCスタック2基による460kg/502Lを前提としているようなので、同年の目標値を重量当たりの出力密度に直すと約0.87kW/kgとなる。

 セルセントリックは次世代システムについて、現行型より「出力を40%向上する」とした上で、「重量400kg以下、出力375kW以上」というスペックを公表している。出力密度にすると0.9375kW/kgであり、実現すればNEDOが示したパリティ水準を超えそうだ。

 参考までにほかのメーカーでも燃料電池システムの重量出力密度を計算すると、イヴェコ/ニコラにモジュールを提供しているボッシュは、スタック2基500kgで200kW出力なので約0.4kW/kgとなる。ヒュンダイ製は0.46~0.49kW/kg、ホンダは次世代型燃料電池について「250kg・150kW」と公表しているため重量出力密度は0.6kW/kgとなる。

 トヨタは第3世代型のスペックを公表していないが、商用車向けに第2世代から出力を2倍にしたといい、第2世代の「TFCM2s-F」は約0.35kW/kgだったので、現状ではセルセントリックとともに世界最高水準にあると推測される。

 このため、セルセントリックがトヨタ・ダイムラー・ボルボの3社による合弁体制に移行すれば、同社が商用車向け燃料電池で世界をリードすることは間違いなさそうだ。

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