雪の上でも走れます！　京セラと北海道大学が自動配送ロボットの雪上走行試験に成功!!

　国土の約半分が豪雪地帯の日本で「無人配送ロボット」を実現するには、雪の上でも走行が可能でなければならない。

　京セラコミュニケーションシステムは北海道大学と共同で積雪・降雪環境下でも走行できるロボットを開発し、準公道での走行試験に成功した。

文／トラックマガジン「フルロード」編集部
写真／京セラコミュニケーションシステム株式会社

国内初、雪上を走行する中速・中型自動配送ロボットを共同開発

　京セラコミュニケーションシステム株式会社（以下、KCCS）と国立大学法人北海道大学（以下、北大）は、雪上を走行する中速・中型自動配送ロボットの共同開発および、準公道での走行試験を実施し成功したことを2025年2月5日に発表した。

　これは、NEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）の「革新的ロボット研究開発基盤構築事業／自動配送ロボットによる配送サービスの実現」に採択された雪上走行技術開発の一環として実施したもので、KCCSによるとこうした走行試験は国内初の取り組みだという。

　地方の過疎化や全国的な労働力不足が深刻になっているが、KCCSは無人自動配送ロボットを活用し、必要なモノやサービスを必要とする人の元へ届けることで、誰もが安心・快適に住み続けられるまちづくりを支援することを目指し、2021年より北海道石狩市を中心に無人自動配送ロボットの技術検証を行なっている。

　北海道で走行技術の検証を行なうにあたっては、積雪や降雪環境下での走行が不可欠だ。

　日本の国土の約半分は豪雪地帯で、積雪・降雪環境下での配送員の不足は深刻な社会問題となっている。こうした背景から、KCCSは2022年度より北大大学院工学研究院の江丸准教授と共同開発を開始。

　配送ロボットは国内メーカーのミニカー規格（長さ2.5メートル以下×幅1.3メートル以下×高さ2.0メートル以下）に準じる大きさで、最高速度は15km/h。江丸准教授が研究する積雪・降雪環境でのAIによるノイズ除去技術と、KCCSが開発する自律走行技術を組み合わせ、積雪・降雪の悪環境を走行する無人自動配送ロボットを共同開発した。

　北大構内の準公道（他車交通）や北大メイン道路などで2月16日までこのロボットを使った自律走行試験を実施する。

　これまで降雪時に雪粒を障害物と検知し停車してしまう課題があったが、降雪量が約3cm/hの環境や除雪路において10～15km/hでの安定走行に成功している。

　また、LiDAR（レーザー光により周辺環境を捉える技術）による自己位置推定が降雪・積雪時に不安定になる問題は、GPS等で補正することで正確な位置推定を実現したほか、カメラへの着雪による視界不良はヒーターフィルムによる融雪で対応した。

　走行中は遠隔から監視者がモニタリングし、状況に応じて無人自動配送ロボットを遠隔操縦しているが、こうした改良により降雪環境でも安定した遠隔監視および操縦操作を実現したという。