製造した水素をトラックの燃料に
トライジェンのもう一つの特徴は一日当たり最大1200kgの水素を製造できる点で、トヨタの燃料電池乗用車である「ミライ」や、トヨタと提携して燃料電池大型トラックを開発しているケンワースの車両などの燃料となる。
特に大型トラックはTLSの輸送や港湾ドレージ(船舶で運ばれてきたコンテナを、そのままトラックで目的地まで輸送する仕事)に活用されており、TLSに隣接する大型水素ステーションにも水素を供給する。
カリフォルニア州では2024年1月1日から「アドバンスド・クリーン・フリート」規制が開始され、州内の港湾ドレージ業務を行なう新型車はゼロ・エミッションでないと登録できなくなっている。ドレージ用のトラックは2035年までに全てゼロ・エミッション化される予定だ。
トライジェンシステムによる水素の製造量は需要に応じて増減することができる。
昨年に施設が完成し、今年1月にトヨタ「ミライ」へ最初の再生可能水素の充填が行なわれた。そして4月には隣接するシェルHDフィリングステーションにおいて、ケンワース「T680 FCEV」にトライジェンで製造した再生可能水素の充填が行なわれた。
水素製造の副産物として水が産生されるが、一日当たり最大で1400ガロン(5300リットル)に及ぶ副産物の水は再利用が可能で、TLSでは顧客に届けられる前の車両の洗浄用に活用している。これにより地域の水道負担を軽減しており、年間で50万ガロン(190万リットル)の節水が可能になる。
これらを合わせると、TLSロングビーチでは年間9000トンのCO2が削減される見込みとなっている。これはトヨタのほか、革新的なソリューションにより脱炭素を目指している港湾当局の排出削減目標にも資するといい、ロングビーチ港のCEOを務める、マリオ・コルデロ氏は次のように話している。
「再生可能水素の時代が間もなく始まります。トヨタとFCエナジーの協力のもと、革新的なトライジェン・システムが稼働を開始しました。こうしたプロジェクトによるグリーンエネルギーは重層的な戦略に不可欠であり、世界初のゼロ・エミッション港になるという私たちの目標を力強く推進するものです」。
汚染物質を出さないトライジェンは発電所からのNOx(人体などに有害な窒素酸化物)排出も削減する。また、クラス8トラックの燃料に水素を活用することで、軽油の消費量を年間で42万ガロン(160万リットル)削減する可能性を秘めている。
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