仕様策定を完了しばかりの大型EVの充電規格「メガワット充電システム(MCS)」が、欧州メーカーの量産車として初めてMANの大型トラックに搭載された。充電時間の短縮は商用車にとっては特に重要で、一日の走行距離が1000kmを超えるような長距離の運用も、ディーゼル車と同じように可能になるという。
国際電気標準会議がMCSの技術仕様を確定させたのは今年初めで、半年で量産車に搭載された。技術仕様の上限を超える互換性(上方互換)を実現することは難しく、MCSはトラック充電規格として事実上の世界標準となるかもしれない。
(MCSは現行規格で最大3.75MWまで対応するが、日本が提唱するCHAdeMOは次世代規格でも最大1.8MWとなるため)。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus
大型トラック用の充電規格「MCS」がついに量産車に
ドイツの大手商用車メーカー、MANトラック&バスは2026年7月30日、同社ミュンヘン工場より「メガワット充電システム(MCS)」を搭載する最初のトラックがロールオフしたと発表した。
名前の通りメガワット(1MW = 1000kW)級の大電力での充電を目指すMCSは、大型バッテリーEV(BEV)トラック向けの次世代充電規格となる。欧州メーカーの多くは現行型のBEVトラックに乗用車と同じCCS規格を採用しており、充電に非常に時間がかかる。
量産車にMCSが標準搭載されるのは欧州でもこれが初めてだ。大型車専用の規格により充電時間が大幅に短縮され、BEVトラックの実用性が高まることが期待されている。
MCS規格を策定しているのはCCSと同じく CharIN で、今年初めに正式な技術仕様書としてIEC(国際電気標準会議)から「IEC TS 63379」が発行されたばかり。仕様を満たせばメーカーは問わないオープンな規格で、仕様確定から半年での量産化は商用車メーカーの期待の高さを反映したものと言えるだろう。CharINもCCSの反省点をMCSの策定作業に活かしているという。
MANは電気駆動による新時代のトラックを提供するとともに、充電インフラをはじめとするインフラの構築も支援している。MCSを搭載するBEVは、ベルギー、デンマーク、ドイツ、英国、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、チェコなど欧州の顧客に順次納車される予定だという。
大型車用の充電規格は他にも様々なものが提唱されているが、プロプライエタリ(技術仕様がオープンにされていない、特定のメーカーのための規格)であったり、効率化や普及に向けた課題を多く抱えている。そんな中、大手メーカーの量産型トラックに搭載されたMCSが、事実上の世界標準となりそうな気配だ。
日本発の充電規格であるCHAdeMOは、中国のGB/T規格と統合されChaoJi/CHAdeMO 3.0となったが、現状では中国と日本以外に普及していない。もともと乗用車向けの規格であるため容量は最大900kW(600アンペア・1500ボルト)に留まり、トラック用に2本を並列に接続するUltra-ChaoJi/CHAdeMO 4.0(最大1.8MW)も提唱されているが、MCSは現行仕様でも3000アンペア・1250ボルトによる3.75MWまで策定されている。
CHAdeMO方式は後方互換性を重視しており、アダプターによるCCS方式等への変換も可能としているものの、規格の仕様上の上限を超える「上方互換」を実現するのは難しい作業で、MCSとの互換性実現はより困難になると予想される。

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