メルセデスAMGはフォーミュラ1(F1)の2026年欧州シーズンの輸送に用いるトランスポーターを公開した。車両はメルセデス・ベンツの「eアクトロス600」で、バッテリーEV(BEV)トラックを本格的に導入するのは初めてとなる。
再生可能ディーゼル燃料の「HVO100」とともに、純電動トラックがメルセデスのF1チームを支える。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Mercedes-Benz Group AG
メルセデスAMG、F1の輸送に初めてEVトラックを本格使用
メルセデス・ベンツのF1チーム、メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム(以下、メルセデスAMG)は2026年6月3日、F1マシンなどを輸送する新型トラックを公開した。
2026年の欧州シーズン9レース、およそ15,000kmの輸送を担う新トランスポーターとして初めてバッテリーEV(BEV)トラックを本格導入する。
トラックはもちろん「メルセデス・ベンツ」ブランドの「eアクトロス600」で、長距離輸送用のBEVトラクタとして量産化されている車両だ。長い航続距離と急速充電で市場をリードする同車は、欧州の各レースへチームを支える重要インフラを輸送するのに用いられるという。
これまでメルセデスAMGではトランスポーターに再生可能ディーゼル100%燃料の「HVO100」を使用していた。HVOは植物油等(廃食用油などを使う)に水素化処理を施したもので、燃料としての性状は軽油とは若干変わるものの、既存のディーゼルエンジンでそのまま使える「ドロップイン」という特性を持つ。
6月1日にモナコに到着した純電動トランスポーターが、このHVOによる輸送用フリートに加わった。
メルセデスAMGはモナコグランプリに先立ってBEVトラックを本格導入し、F1欧州シーズンを通じて運用する。なお、欧州シーズンを通じてBEVトラックを使用するF1チームは、メルセデスAMGが初めてとなる予定だ。
2025シーズンでも試験運用
F1レース用のマシンと資機材は一般的に専用のトレーラに積み込まれ、トラクタでけん引する。F1レースを支えるトラクタ・トレーラは「F1トランスポーター」とも呼ばれ、隠れたファンが多い。
商用車の欧州トップブランドでもあるメルセデス・ベンツは、同ブランドの「アクトロス」シリーズをトランスポーターに採用しており、同社にとってはマーケティングも担う重要な車両となる。
これまで脱炭素化に向けて主に内燃エンジンとHVO100燃料を組み合わせていたが、今後3か月間、モナコからマドリードまで、欧州を転戦する15,000kmの輸送にBEVのeアクトロス600が加わった。
この決定は2025シーズン中の実績に基づくもので、昨年イギリスグランプリで初めて試験運用され、オランダグランプリではメルセデスAMGのフォーミュラ1カー「W16」の輸送にも用いられた。
今シーズンでは欧州の全レースにeアクトロス600の使用を拡大する。これは国際的なスポーツの現場においてBEVトラックへの信頼が高まっていることを示すものだといい、車両は通信ルームや医師・理学療法室などチームを支える重要インフラの輸送を担う。
CO2の排出削減が最も困難な分野の一つされるのがモータースポーツだが、メルセデス・ベンツはディーゼル車に変わる選択肢を多様化することで長期的な排出削減に貢献するとともに、2030年までにレースチームでのネットゼロ達成という目標を掲げている。
メルセデスAMGは2025年の欧州シーズンでは輸送の99%にHVO100を使用し、CO2換算で410トン以上の排出削減を実現した。なお、HVO100の供給はタイトルパートナー兼技術パートナーであるペトロナスの支援を受けている。
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