トラックの「過積載」は危険なだけでなく、実質的な運賃のダンピングでもあり、道路を利用する全ての人と一般の事業者に害を与える許されない行為だ。こうした違法行為がいまだになくならないのは、「重さ」が目には見えないためでもある。
日通など3社が、トラックの挙動から実際の重さを推定する「重量の見える化」技術の実証実験を行なっている。実重量の可視化は、過積載のスクリーニングのほか、不採算路線の特定や積載効率の向上、実態に基づいた政策立案などにも期待が掛かる。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
図/日本通運株式会社
日本通運などがトラックの積載重量の可視化に向けた実証実験
日本通運株式会社、株式会社アドヴィックス、株式会社スマートドライブの3社は、トラック車両の実重量ベースでの積載重量をデータ化し可視化する技術の実証実験を行なっている。
2026年3月24日に発表されたプレスリリースによると、昨年の11月から日本通運が保有する車両にアドヴィックスの車両重量推定技術とスマートドライブのモビリティデータプラットフォームを組み合わせることで、これまで把握が困難だった「実重量ベースでの積載重量」の可視化に取り組んでいるという。
トラックの挙動からその重量を「見える化」できれば、過積載の防止、積載効率の低いルートの改善などに繋がる可能性があり、「2024年問題」でサプライチェーン全体での効率化が急務となっている物流業界にとっては重要な技術となる。
特に、改正物流効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)において、一定以上の規模の「特定事業者」は積載効率44%以上という数値目標達成に向けた取り組みが求められるため、輸送の実態を正確に把握する必要性が高まっている。
(「積載効率」とは、空車走行を含む往復の運行全体でどれだけ効率的に運べたかを示す指標)
しかし、現在のトラック積載率(最大積載量・容量に対して、実際に積んでいる重量・容積の割合)は伝票申告ベースで算出されることが一般的で、実重量との乖離や、積載率の低い不採算路線の特定が困難であるといった課題があった。
自社車両の運用効率が可視化されていないことで、結果として長距離輸送を傭車に出す下請け構造の固定化や、荷待ちにおける負担増などトラックドライバーの働き方を巡る諸問題につながっている。
実証実験の概要
3社はこうした課題に対し、技術検証および実用化に向けたPoC(概念実証)を実施している。
概要としては、スマートドライブの車載デバイスから走行データ(車速や前後加速など)を取得し、アドヴィックスが開発した「走行データを元に車両の重量を推定する技術」を用いてプラットフォーム上で解析し、車両毎の実重量ベースでの積載重量を推定した結果を可視化するというもの。
実証実験ではこれらのデータを用いて、日本通運の運行管理および経営判断に活用できるかを検証する。期間は2025年11月から2026年3月末まで(延長の可能性あり)、対象車両は日本通運の東京都内の支店が管轄する車両総重量20トン超の大型トラック2台だ。
検証する内容は、
●車両挙動データに基づく積載重量推定精度の検証(トンレベルでの変動検知)
●データレポートによる可視化と、現場・経営層による活用可能性の検証
●積載効率の低い運行ルートや過積載のスクリーニング機能の検証
となっている
実重量に基づいたデータ測定が可能となれば、数値を客観的に把握し、積載効率向上に向けて具体的な改善策を講じることができる。また、不採算路線を特定し改善したり、共同配送の可能性をデータに基づいて判断できるようになる。
これまで長距離輸送や長時間拘束される仕事は、下請けとなる中小の運送会社に回されることが多く、実運送を担うドライバー間での格差にもつながっていた。自社車両の効率的な運用を促進することで無理な傭車依頼も減るかもしれない。
なお、物流改善が強く求められる「特定荷主」に該当するか否かは年間の荷扱量9万トンが基準となっている。伝票ベースではなく実重量という実態に基づいて判断するなど、統計データとの乖離を把握することも、政策の実効性を高めて行く上で重要となる。
実証実験を通じて得られたデータと知見は、推定精度の向上およびレポートの有用性の検証に活用され、2026年4月以降は対象エリアや車両台数の拡大を検討し、将来的には業界全体の課題解決に資するソリューションとしての本格導入・展開を目指すそうだ。
【画像ギャラリー】様々なソリューションへの活用が期待されるトラックの重量可視化技術(4枚)画像ギャラリー






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