自動運転トラックによる幹線輸送の実現を目指すT2は、このほど、神奈川県綾瀬市から兵庫県神戸市までの高速道路区間を走破する実証に成功した。その走行距離は約500キロに達し、レベル2自動運転トラックとして日本国内で最長となるという。
三井物産とPFNという日本の企業が共同出資して設立したT2は、日本の自動運転の期待の星として着々と成果を収めつつある。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/T2
自動運転トラックの事業化を目指すT2のこれまでの成果
T2は、「2024年問題」を背景にした物流危機に対応するため、2025年7月からのレベル2自動運転トラックによる幹線輸送の事業化に向けて、現在、さまざまな企業各社との実証を進めている。
事業化を目前に控え、各社との実証でこれまで区間や環境を絞り込んで検証してきた自動運転技術の拡張性を確かめるべく、6月上旬、神奈川県綾瀬市にある東名高速道路の綾瀬スマートICから兵庫県神戸市にある阪神高速道路3号神戸線の魚崎出入口まで、レベル2自動運転で走行する独自の実証を実施。
この実証の距離は約500キロに達し、2024年12月に実施した駿河湾沼津SA(静岡県)から豊田東JCT(愛知県)までの約180キロの記録を大幅に更新した。
さらに、夜間から明け方という視認性が悪い条件のもと、安全確保が必要な状況や料金所、工事区間などではドライバーが一時的に運転操作を行なったが、該当区間における自動運転率は99%を達成した。
自動運転トラックの技術開発に関しては海外勢が先行している。T2では、今回の国内有数の人口を誇る神戸市までの走破は、日本でこの先、自動運転トラックを社会実装する過程において画期的な進展と位置付けている。
T2は、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送を実現するため、これまで、GPSが利用できないトンネルをはじめ、坂道やカーブなど不安定な状況でも走行レーン内を安定して走らせる技術を確立。
また各社との実証における多種多様な積載物・重量に耐えうる自動運転走行の達成、夜間や悪天候でも周辺の車両を正確に検出する精度の向上に努めてきた。この結果、これまでの累計走行距離は25年1月以来、6万キロを超えた。
さらに最近では、さらなる技術開発にも挑戦。周辺車両との間を自律的に判断した上で安全に車線変更できるようにしたほか、勾配や急カーブが存在するJCTを通過する際でも走行レーンから車体がはみ出ることなく安定して車両姿勢を制御する技術も開発した。
T2は今後、2025年の事業化を経て、2027年にはレベル4自動運転トラックによる幹線輸送の開始を目指しており、これに向けて必要となる先進技術の開発を進めていくとしている。
拠点開発の本格化に向けて、神戸市との連携も開始
さらに今回の機会に合わせて、T2は、神戸市との連携も開始した。
この連携では、神戸市が整備中の「(仮称)神戸複合産業団地南地区産業団地」付近の市有地を活用し、自動運転トラックによる幹線輸送の実証で必要となる自動運転と有人運転の切り替えや車両の整備などにあたる拠点開発を本格化させていくという。
なお、この連携開始について神戸市都市局は、
「神⼾市ではSDGsの推進に向け、持続可能なスマート産業団地の整備に取り組んでいます。自動運転トラックの幹線輸送サービスは、ドライバー不足などの物流課題の解決のみならず、温室効果ガスの排出抑制などにも寄与することから、神戸市としても高い関心を持っており、本連携を通じて、神戸市内における実証や西日本における幹線輸送サービス実装に向けた取り組みが進むことを期待しています」とコメントしている。
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