2025年5月14日から16日にかけてドイツで開催されたレットモービル(RETTmobil=国際救急・消防自動車展)でメルセデスベンツ・スペシャルトラックスはオールテレーン消防車を展示した。
「ウニモグ」ベースの消防タンク車と、「アテーゴ」ベースのHLF10救助消防車だ。最近は日本でも山火事の被害が大きくなっており、国内にもオフロード消防車の需要はありそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
ウニモグU5023消防タンク車
メルセデス・ベンツの「ウニモグ」といえばオフロード車の代名詞だ。50cmを超える高い地上高と、大きなアプローチ/ランプアングル、水深1.2メートルでの渡河能力を備えるウニモグU5023は、山火事などの災害に対応するオフロード消防車のベースとして理想的だ。
チューブラーアクスルとねじれに強いシャシーは最大30度の斜面でも駆動力を発揮する。当然、上物(ボディ)も安定しており総重量14.5トンを確保しつつ、道路がない人里離れた現場にもウニモグなら安全かつ迅速に到着できる。
一体型のタイヤ空気圧管理システムは走行中でも空気圧を素早く調整でき、変化する路面状況に応じて最大限のトラクションを確保する。また消防車としての利用のため、ウニモグには熱防護パッケージも用意されている。
レットモービル出展車はU5023をベースとする消防タンク車で、架装はドイツのシュリングマン製。上物のフレームは安定性を確保し腐食を防止するため、特殊なステンレス鋼による溶接構造となっており、二重の三点支持でシャシーに接続されている。これにより困難な地形でも高いねじれ剛性を実現した。
消火水タンクは最大4000リットルで、シュリングマンS2000型消防ポンプを備える。ボタンは手袋をはめたままでも容易に操作可能としたほか、ルーフにも放水銃を備え旋回式ルーフハッチから操作できる。
サイドの機器コンパートメントは様々な消防機器を収容するスペースとなっており、ポンプシステムなどは後部の機器室に収納する。天井にはルーフボックスも取り付けられ、LEDライトストリップにより車両周辺と機器室を効果的に照らすことが可能だ。
アテーゴ多機能救助消防車
もう一台の出展車はメルセデスベンツの「アテーゴ」トラックをベースにした自治体向け多機能緊急車両で、救助と消防の両方の機能を備えている(ドイツなどで「HLF10」と呼ばれる車両)。上物はローゼンバウアー製だ。
220kW(299hp)の全輪駆動(AWD)でオフロード用のリダクション(レシオ)を備えたアテーゴは、ウニモグ並みとは言わないまでも、ほとんどの非舗装路を走行可能だ。
必要に応じてタイヤの空転を防ぐため、前後軸を同期させるロンジチューディナル・ロックと、両軸のディファレンシャル・ロック機能を有している。
広々としたクルーキャブは9人乗り(ドライバー1名+クルー8名)となり、ボディに架装するローゼンバウアーの「AT」は様々な自治体の配備要件を満たすように設計された。
収納スペースと高い積載能力により、あらゆる状況を想定した幅広い機器を搭載可能だが、車体後部のオーバーハングは2メートル弱と短く、車両周囲を照らすアンビエント照明により夜間の作業でも安全な環境を確保する。
消防ポンプと消火水、泡消火剤も搭載可能で、操作は世界的な消防機器大手として実績のあるローゼンバウアーのシステムによって制御される。
このほかレットモービルの屋外コースではウニモグ・クルーキャブの試乗が可能だ。231hp、セレクタブルAWD、ポータルアクスルを備え、オフロードでの安定した走行に加えて、舗装路では時速89kmで高速走行が可能だという。
【画像ギャラリー】ベンツのオフロード消防車を画像でチェック!(12枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方