建設現場や工事現場でよくみかける小型ダンプトラックは、とても身近な特装車だ。先日、その荷台部分を供給する国内大手特装車メーカーのひとつ、極東開発工業が、ダンプボディ生産ラインの自動化を完成させた。
文・写真/フルロード編集部
岐路に立つ多品種少量生産
極東開発は、1962年から神奈川県大和市の横浜工場でダンプボディを生産してきた。トラックメーカーの工場とも近いことから、同社では販売台数の多い小中型ダンプのメイン生産拠点として位置づけられている。
ダンプに限らず特装車は、架装物(上モノ)の形状や細部の仕様違いが多く、しかも複数メーカーが生産するトラックシャシーのバリエーションにも対応しなくてはならないという、「多品種少量生産」の世界である。そのため、1台1台をつくり上げるには、人の手に頼るところが非常に大きいという特徴がある。
筆者は過去にいくつかの特装車生産工場を訪れたが、人が工作機械や溶接機を駆使して鋼材を大きなカタチにしていく現場は、いずれもモノづくりの迫力を実感させるダイナミックな光景に満ちていた。
しかし、同社横浜工場の赤塚和彦工場長は「この生産スタイルを将来も維持することは難しくなるでしょう」と話す。同社に限らず製造業全般で、溶接技能者など専門技能を身につけた人材が年々減少しているが、少子高齢化で今後も増える見込みはないからだ。
ダンプボディ生産ラインを自動化
そこで同社では、ボディサイズや仕様がおおよそ決まっている「標準型ダンプボディ」の組立ラインの大幅な省人化を図るプロジェクトを立ち上げ、2021年4月にまず中型ダンプ、2024年7月に小型ダンプのそれぞれで、新しい自動化組立ラインが完成した。
ちなみに「標準型ダンプボディ」とは、トラックメーカーがシャシーと上モノを一体で販売する『メーカー完成車』向けの架装物を指す。小型ダンプの場合、積載量2~3トンクラスの小型トラック(いすゞエルフ、日野デュトロ、三菱ふそうキャンター、およびそのOEM供給モデル)がベースとなっている。
いわゆる『2トン車』と呼ばれるクルマだが、ダンプは2トン車で2番目あるいは3番目に多い車種(用途)で、極東開発はトラックメーカー各社に標準型ダンプボディを供給(完成車架装も受託)している特装車メーカーの1社である。
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