バッテリーEVでも耐久性と架装性に配慮! MANが建設業界向けトラックを展示 【バウマ2025】

バッテリーEVでも耐久性と架装性に配慮! MANが建設業界向けトラックを展示 【バウマ2025】

 フォルクスワーゲングループの商用車メーカー、MANトラック&バスは「バウマ2025」で建設業界向けの最新トラックを展示する。

 同社のBEVトラックは高度なカスタマイズ性によりさまざまな架装に配慮したほか、最大15年/160万kmという耐久性で建設業界にも適した車両となっているという。また、大型トラック用ディーゼルエンジンの新規開発は行なわないとしている同社だが、バウマには大型建機用のエンジンが出展されるようだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus

MANの新しい「eトラック」は建設業界に最適?

バッテリーEVでも耐久性と架装性に配慮! MANが建設業界向けトラックを展示 【バウマ2025】
MANのバウマ2025出展車両の一部。左から電動の「eTGS」クレーン付きダンプ、GVW3.5トンの「TGE」小型ダンプ、GVW44トン級の鉱山用ダンプ

 MANトラック&バスは4月7日から13日にかけてミュンヘンで開催されるバウマ2025に、「応用」(アプリケーション)に焦点を当てて建設業界向けのトラックを展示する。

 出展車は、ディーゼル車からバッテリーEV(BEV)まで、車両総重量(GVW)3.5トンの小型車から連結総重量(GCW)180トンのトラクタまで多岐にわたる。

 MANの新しいBEVトラックは、様々なホイールベース、キャブ、モーター出力、PTO(動力取り出し装置)、バッテリー構成、充電器の接続口やその他の機能など高度なカスタマイズに対応し、その組み合わせは100万通り以上だ。これにより架装を担うボディメーカーが用途に合ったベース車両を選択できるようになっている。

 耐用年数は最大15年もしくは走行距離160万kmを想定しており、バッテリーの耐久性も高い。建設業界の車両保有期間は(輸送用の車両より)長く、同社のBEVは建設業界に適した車両だという。

 MANのセールス&カスタマーソリューション担当取締役、フリードリヒ・バウマン氏は、「実用的で信頼でき耐久性の高い車両の提供はMANのDNAの中核をなすコア・コンピタンスです。この志向はBEVトラックにおいても変わらず、ディーゼル車にも決して劣りません」と話している。

 MANの新しいBEV大型トラック「eTGX」と「eTGS」は、バッテリーをモジュール式で組み合わせることができ、搭載位置も自由に変更できる。バッテリー搭載数は3~6個、モーター出力は333/449/544hpから、シャシーは20~28トンから選択可能。

 架装用のクリアランスを確保しており、様々な架装物を搭載するためPTOは機械式及び電気式、ホイールベースは9種類、キャブは6種類、リーフ/エアサスペンション、トレーリングアクスルの操舵軸の有無など、それぞれのアプリケーション向けに調整可能となっている。

 9種類あるホイールベースのうち、最も短い3.75メートルのシャシーでも5バッテリー(利用可能容量 400kWh)を搭載し、最大500kmという長い航続距離を実現できる。建設業界で一般的な用途は、より少ないバッテリーでも充分だが、バッテリー搭載数を減らすことで積載量は最大2400kg増加する。

 また、こうした標準レンジに対して、個別のカスタマイズ/改造を行なうMANインディビジュアルが従来車同様にBEVに対しても多くのオプションを提供している。例えば車両後部のCCS充電口、高所作業プラットフォーム、7番目のバッテリー搭載、特別な内外装デザインや快適性パッケージなどを提供する。

建機向けエンジンは継続

バッテリーEVでも耐久性と架装性に配慮! MANが建設業界向けトラックを展示 【バウマ2025】
「MAN TGM 18.320 4×4」。4×4全輪駆動で後軸はシングルタイヤ。舗装路からオフロードまで、さまざまな路面での取り回しに優れている

 MANはトラックメーカーであると同時に「ディーゼルエンジン」の実用化で知られるエンジンメーカーでもある。大型トラック用としては先日発表した「D30」型ディーゼルエンジンが「最後の世代」としており、後継世代は開発しない方針だ。

 いっぽう、同社は建設機械向けにも内燃機関ソリューションを提供しており、バウマ2025ではV型12気筒エンジンの「D2862」型をMANトラック&バスブースで展示する。大型掘削機など排気量要件が20~30Lの建設機械向けにエンジンの提供は続けるようだ。

 バウマ2025では次のような車両を展示することにしている。

MAN eTGS 28.449 6×2-4 BL CH
 クレーン付きBEV3軸ダンプで、eTGSの449hpモデルがベース。マイラー製ダンプにパルフィンガー製のクレーンの組み合わせ。足場の安定性を確保するため油圧スタビライザーを備えるが、これは柔軟に搭載位置を変えられるモジュール式バッテリーにより可能になったそうだ。

MAN TGS 35.540 8x2H-6 BL CH
 D26型ディーゼルエンジンと油圧式前輪駆動システム「ハイドロ・ドライブ」を備え、30トン吊りのパルフィンガー製大型クレーンを架装。

MAN TGX 33.640 6×4 BL SA
 重量物運搬用の「TGX」トラクタで、排気量16L級のD38型エンジンが640hpを発揮する。ダンプセミトレーラや重機運搬用のローローダーとの組み合わせのほか、連結総重量180トンの重量物輸送にも使用可能。

MAN TGS 41.480 8×4 BB CH
 主に欧州以外の鉱山向けのトラックで、GVW44トン(技術的には50トンまで可能)の頑丈な8×4シャシーは鉱山用の大容量ダンプと組み合わされる前提で設計されているそうだ。

MAN TGM 18.320 4×4 BB CH
 「TGM」4×4全輪駆動のGVW18トン車。後軸はシングルタイヤで様々な路面で機動力を発揮する。

MAN TGE 3.200 4×4 BL
 昨年アップデートされた「TGE」のGVW3.5トン全輪駆動車に3転ダンプを架装した。

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