「物流の2024年問題」に象徴されるトラックドライバー不足の問題が深刻化している。
そんな中、政府が2024年度に新東名高速道路に自動運転車用レーンを設置し、レベル4自動運転トラックの実証運行を開始することがわかった。どこでどんな内容の試験を行なうのか? 本格的な実用化の時期は? 今わかっていることをまとめた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ダイムラー、経済産業省、「フルロード」編集部
24年度に新東名高速で自動運転トラックを運行
政府は、2024年度に新東名高速道路の一部区間に自動運転車用レーンを設置。2025年度にはレベル4自動運転トラックの実証運行を行なうと発表した。ハード/ソフト/ルールの面から自動運転を支援する「自動運転車支援道(自動運転車用レーン)」を整備し、自動運転車の安全かつ高速な運用を目指す。
自動運転車用レーンでは、路側センサ〜車両間で通信(路車間通信)を行ない、合流支援(本線車両の検知等)や、各種情報提供(落下物や工事車線規制等)を行ない、自動運転車の走行を支援する。
まず2024年度に新東名高速道路の駿河湾沼津SA〜浜松SA間約100kmに自動運転車用レーンを設置し、深夜時間帯に自動運転トラックの実証運行を開始。25年度には神奈川〜愛知間でレベル4自動運転トラックの実証運行を開始し、26年度以降の実用化を目指す。
また一方で、2025年までに全国50カ所、2027年度までに全国100カ所で自動運転車で人の移動を支援するサービスの提供も開始するとしている。自動運転車用レーンや自動運転トラックの実用化を盛り込んだ「デジタルライフライン全国総合整備計画」は、2023年度末に閣議決定される見通しだ。
自動運転の「レベル」とは?
自動車の自動運転技術には、アクセル、ブレーキ、ステアリングのいずれか1つをシステムが支援するものから、無人の自律走行まで、複数の段階がある。
日本の国土交通省も採用する米国SAEの基準では、6段階の区分を設定しており、レベル0は完全な手動運転、レベル1は加速/減速/操舵のどれか1つをシステムが支援するもの(車間距離維持機能を持たずアクセルだけの制御で一定速を維持しようとする通常のクルーズコントロールなど)となる。
レベル2はアクセル/ブレーキと同時にステアリングの監視/対応をシステムが行なう「部分自動運転」で、すでにトラックでも一部で実用化されている。
一方、レベル3以上になると、すべての運転操作をシステムが行なう完全な「自動運転(作動する環境の制約、作動困難時の運転者による対応の要否によってレベル3〜5に分類される)」として、運転の主体/責任もドライバーからシステム側に移る。
ちなみにレベル3はシステムがすべての運転操作を行なうが、ドライバーはいつでも運転に戻ることができなくてはいけない。レベル4は一定条件下で完全な自律走行が可能。レベル5になると、無条件ですべての運転操作をシステム側に委ねることができるようになる。
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