ミシュランとDHLエクスプレスが提携し、シンガポールで耐パンク性タイヤ「ミシュラン アプティス・プロトタイプ」を始めて試験採用した。廃棄タイヤを大幅に減らすことが期待されるエアレスタイヤだが、予定より早くラストマイル配送市場で実用化に向けた第一歩を踏み出した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ミシュラン
エアレスタイヤの市場投入を1年前倒し
フランスを本拠とする多国籍タイヤメーカー・ミシュランは、2023年1月10日、国際物流会社のDHLエクスプレス(本社:ドイツ、以下DHL)と提携し、シンガポールで新世代エアレスホイールテクノロジー「ミシュラン アプティス・プロトタイプ」(MICHELIN UPTIS Prototype、以下、「アプティス」)を装着したDHL車両の初運行を実施した。
2023年末までにシンガポールで約50台のDHL車両がアプティスを装着し、ラストマイル配送(最終拠点から顧客の元へ荷物を届けるまでの配送)を行なう予定だ。
ミシュランは2019年6月に乗用車向けエアレスタイヤを2024年に一般市場に投入すると発表している。今回、DHLとの提携を通じて、予定より1年早くラストマイル配送という商用車市場で最初の一歩を踏み出した形だ。
ミシュランが空気を充填しない自動車用の「エアレスタイヤ」というコンセプトを発表したのは、2017年の「ビジョン」コンセプトが最初だった。その後、ビジョンの実用化へ向けた第一歩として、アメリカのゼネラルモーターズ(GM)と共に発表したのが「アプティス」だった。
なお、アプティスは、“Unique Puncture-proof Tire System”(ユニークなパンク耐性タイヤシステム)の頭字語をとったものだ。
乗用車・ライトバン用のエアレスタイヤとなるアプティスは、画期的な構造やハイテク材料およびホイールアセンブリーにより、タイヤのパンクや破裂など、運行上の大きなリスクを取り除くことができるという特徴を持つ。
タイヤをエアレスとすることで、空気圧補充や点検の必要が無くなり、メンテナンスの負荷を大幅に軽減することができる。また商用車においては、車両のダウンタイムが最小化することで稼働率が向上し、事業の生産性の最大化が可能となる。
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