岡雅夫の「働くクルマ」のショートエッセイ 第54回
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寄稿・連載
欧州クルマ紀行 その⑨
ヨーロッパの自動車文化の懐の深さは素晴らしく、車を大事にする文化でもある。古い車はレストアされてまるで新車のようによみがえり、さらに大切にされる。そんな車と最新のエキゾチックカーを集めて販売しているメインレンワークという施設(倉庫ではなく展示場とも呼びにくい)が、シュツットガルト郊外にある。なおシュツットガルトという街はポルシェの本社・工場もあるが、ベンツの本社・工場もある車の街である。メイレンワークの目玉は1960年代のベンツであろう。190SLというモデルは今でも人気は高いが、外観だけでなく傷一つない革シートはオリジナルを修復したもので、新品の革に張り替えただけではないことがわかる。ヨーロッパでは旧車の税金を安くする政策がとられるようになり、古いものを大事にすることがやりやすくなった。こうした旧車はメンテナンスもしっかりするために、ヨーロッパ以外から買いに来ても売ってはくれないそうだ。貴重な資産の海外流出防止もあるのだろうか。 ・・・つづく・・・ (元社団法人日本自動車工業会モーターショー室長)
ベンツ190SL。50年前の車とは思えない
メイレンワーク。名車が山盛り
ベンツ300SLガルウイング。販売対象外車
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