ヤマト運輸が推進する「チーム集配」と相性がいいFF超低床EVトラック
では、ヤマト運輸が今回のEVトラックの実証走行試験に参加する意図はどういった点にあるのだろう? ヤマト運輸では、「輸送のCO2削減三原則」なるものを定めており、それは、①できるだけ車両を「使わない」集配。②「使うならエコ」な車両を選択。③徹底的に「使い方」にこだわるエコドライブ……というものだ。ちなみにヤマト運輸の保有車両数は、2012年3月現在で4万4400台で、このうちの約85%が集配車である。ヤマト運輸では「輸送のCO2削減三原則」の方針に沿って、これまでの1軒1軒集配車で集配先を回る「軒先集配」から、あらかじめ駐車場所を決めておき、その駐車場所から周辺への届け先には台車や自転車・リヤカーに載せ替える「バス停集配」に移行しており、さらに集配のニーズが高密度なエリアにおいては、「チーム集配」という方式にスイッチしている。これは「軒先集配」がワンマンであるのに対し、チームで集配を行なうから「チーム集配」と称するのだが、エリア内に載せ替えを行なうためのドッキングポイントを設け、セールスドライバーが集配車で運んできた荷物を、フィールドキャスト(FC)と呼ばれる複数の人間が台車や自転車・リヤカーに載せ替え、チームで一気に配達を行なうというもの。待たせる時間が少ないので顧客満足度も高いという。ヤマト運輸では、この「チーム集配」を4~5年前から構想し、昨年から実運用を開始したが、現在、3900箇所のセンターのうち約500箇所で「チーム集配」を実施しており、今後も推進していく方針であるという。ちなみにFCは、パート社員が多く、そのほとんどは女性である。
今回、日野自動車が開発した超低床・前輪駆動のEVトラックは、FFトラックの特徴を最大限に活かし、荷室の床面の高さが440mmと、これまでのヤマト運輸のМPバンの860mmより420mmも低く、これがヤマト運輸にとって最大の魅力だったという。先日の共同記者発表会では、実際にドッキングポイントでの乗せ換えを想定したデモンストレーションも行なわれたが、荷室へのアプローチが低いおかげで、女性にも荷捌き作業が容易なことが見て取れたし、台車で直接荷室に乗り込むことも可能だ。その意味で、今般のFF超低床EVトラックは、確かにヤマト運輸が推進する「チーム集配」と相性がいいようだ。
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