日野チームスガワラ、ダカールラリーレポート №20

日野チームスガワラ、ダカールラリーレポート №20

2号車が排気量10リットル未満クラス4連覇を達成!

20日、2013ダカールラリーはチリの首都サンチャゴ市内でゴールセレモニーを行なった。市の中心部に位置し、大統領の執務室などがあるモネダ宮殿前の広場にポディアム(表彰台)が設けられ、完走者が一台ずつ紹介されて登壇する。ダカールラリーが当地にゴールするのは初めてとあって、会場周辺はもちろん、約4km離れたパルクフェルメから往復する沿道には数万人もの観客が集まり、街はダカールムード一色に染まった。
1991年の活動開始以来連続22回目(中止になった2008年大会を除外)のダカールラリー挑戦となった日野自動車は、日野チームスガワラとして日野レンジャー(輸出名HINO 500 Series)の2台体制で今大会に参戦した。3年計画で行なう新型競技車両の開発2年目としてエンジンを電子制御化し、フレーム、前後アクスル/ブレーキを一新した1号車を菅原義正/羽村勝美組が、従来型車両の改良型を2号車として菅原照仁/杉浦博之組が担当。これを全国日野販社から公募選抜された4人のメカニックとチームスガワラの母体である日本レーシングマネージメントに勤務する鈴木誠一がエンジニア/メカニックとして加わる体制である。
ラリーは、2号車が序盤から順調に排気量10リットル未満クラスの首位を快走する一方、1号車は8日にタイロッドを曲げたほか、11日には水温上昇のトラブルが発生。メカニックたちがさまざまな対応を行なったが、思うような効果が得られず、最終的には16日のラジエター交換によって症状が治まった。2号車がクラストップの座を堅持する一方、復調した1号車も終盤のアタカマ砂漠などで持前の粘り強さでポジションをアップ。最終的に2号車が総合19位・クラス1位、1号車が総合31位・クラス4位の成績でサンチャゴにゴールし、2号車が同クラスの4連覇を達成した。
日野チームスガワラの2台の日野レンジャーは、午後5時半すぎにポディアムに登場。ルーフの上にメカニックたちを乗せて到着すると、乗員は日本から激励に駆け付けた岡本一雄日野自動車会長とがっちり握手。地元ディストリビューターの関係者らとともに手を振って歓声に応えていた。これで2013ダカールラリーは全日程を終了。チームは今回1号車が集積したデータをもとに次回大会に向けた新型レーシングトラックの熟成に早速取り掛かることになる。

★岡本会長とチームメンバーのコメント

岡本一雄日野自動車会長/今回現地を初めて訪れてみて、ダカールラリーは人間の要素が大きく、多くの人が楽しんでいる良いモータースポーツだと実感しました。今大会はチームの頑張りによって日野自動車にとっても良いラリーでした。今後もしっかり活動支援を続けて行きたいと思います。

菅原義正/今大会は2回のステージキャンセルもあって、なんだか物足りない感じがしています。思うようにならないのがダカールラリーなんですね。また、1号車のテストという役目は果たせたかなと思います。

羽村勝美/(前回の2010年はリタイアだったので)自分にとっては2009年以来4年ぶりの完走となりました。やはりゴールは良いですね。いろいろな気持ちが重なって、思わず泣けてしまいました。

菅原照仁/今日も沿道には多くの観客の人たちが詰めかけていました。また、チリ日野をはじめ、現地で応援してくれる人たちも多く、心強かったです。今回の結果について、とりわけ総合順位はライバルの台数や内容からすれば、我ながらよく戦ったと思います。

杉浦博之/初めてクラス優勝が出来て素直に嬉しいです。ただ、コースには物足りなさを感じました。これだと我々には有利とは言えないです。

鈴木誠一/久しぶりにメカニックに専念できる体制でダカールラリーに臨みましたが、トラブルが多かったですね。でも良い結果が得られたと思います。

浦部満広/日野レンジャーのゴールに接して涙が出てしまいました。色々なことがありましたが、結果は最高だと思います。

菊池孝泰/期間中は満足に寝ることが出来ませんでしたが、充実していました。一番緊張したのは序盤に1号車がタイロッドを曲げてきたときです。水温上昇のトラブルの際はすぐに解決出来ず、菅原さんたちに申し訳なかったです。

小磯武士/あっという間の2週間でした。今回2号車はちょっとした排気もれ程度でトラブルがほとんどなく、クラス優勝出来て良かったです。大変ではありますが、チャンスがあればぜひまた来たいですね。

酒井芳明/ラリー中は毎日が大変ではありましたが、それが楽しかった。もう終わりと思うと寂しさを感じます。ともあれ2台がきっちり完走出来て良かったです。

 

★フォトギャラリー

MK4_4436 激励に駆け付けた岡本会長と握手する菅原義正 照仁.jpg
激励に駆けつけた岡本会長と握手を交わす菅原義正/照仁

BH8P8642 ポディアムに到着した1号車.jpg
ポディアムに到着した1号車

BH8P8589 排気量10リットル未満クラス優勝の表彰を受けた2号車.jpg
排気量10リットル未満クラス優勝の表彰を受けた2号車

MK4_4485 スタッフに胴上げされる菅原義正.jpg
スタッフに胴上げされた菅原義正

MK4_4463 メカニックたちをねぎらった岡本会長.jpg
メカニックたちをねぎらった岡本会長

最新号

【解説&試乗】日野プロフィア2024年モデル フルロードvol.55 本日(12/10)発売!!

【解説&試乗】日野プロフィア2024年モデル フルロードvol.55 本日(12/10)発売!!

今号では、昨年2月中旬から出荷を再開した日野プロフィアの2024年モデルに試乗。燃費性能と安全性能もアップし、新設計AMTで走りも別モノに進化した新モデルの実力に迫ります。また、「だれでもトラック」いすゞエルフミオEVの公道試乗を実施。AT限定普通免許で運転できるEVトラックの魅力をお伝えします。大好評の「働くクルマの大図鑑」は、飲み物を運ぶその究極のカタチ「ボトルカー」を特集しました。ボトルカーの構造から製造工場のレポート、知られざる歴史、さらにはeキャンターのボトルカーの試乗レポートまで盛りだくさんの内容になっています。