EVトラック普及の切り札は「従量課金制」!? 商用車の電動化促進へダイムラーなど3社がパートナーシップ

EVトラック普及の切り札は「従量課金制」!? 商用車の電動化促進へダイムラーなど3社がパートナーシップ

 「従量課金制」というと携帯電話の通信料などでおなじみだが、商用車の電動化でも注目されている。

 トラックメーカーのダイムラー・トラック、運送会社のDHL、商用車レンタルのハイレーンの3社がパートナーシップを結び、最新型の長距離輸送用BEV大型トラックを「走った分だけ」の従量課金モデルとしてドイツで提供する。

 環境意識の高まりや消費者の購買行動の変化に迅速に対応するため、運送会社がトラックのレンタルサービスを利用するケースが増えており、世界のトラックレンタル市場は年平均10%を超える急成長が続くと予想されている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG

ダイムラー、DHL、ハイレーンがパートナーシップ

EVトラック普及の切り札は「従量課金制」!? 商用車の電動化促進へダイムラーなど3社がパートナーシップ
ダイムラー・トラック、DHL、ハイレーンがBEVトラックのレンタルで提携した

 2025年6月3日、商用車メーカーのダイムラー・トラック、物流プロバイダーのDHL、商用車レンタルのハイレーンの3社は、ミュンヘンで開催された「トランスポート・ロジスティクス」見本市において、純電動トラック分野でのパートナーシップ協定を締結した。

 この協定では、DHLがハイレーンの「トランスポート・アズ・ア・サービス」モデルを通じて、メルセデスベンツ・トラックスのバッテリーEV(BEV)トラック「eアクトロス600」30台を取得することが定められている。

 ただし、DHLが車両を購入するのではなく、ハイレーンのレンタルフリートを通じて、実際の走行距離に応じて「従量課金」方式で料金を請求する形になるという。

 ダイムラーの最新型の長距離輸送用大型BEVトラック30台は、DHLのドイツ国内の物流センター間の輸送に投入され、2026年の第2四半期末までに納車される予定だ。

 また、ゼロエミッション車や代替燃料車専門の商用車レンタル会社であるハイレーンにとって、30台のeアクトロス600の追加は既存のポートフォリオを大幅に強化することに繋がる。この協定は今年に入ってドイツで最大のBEVトラック契約になるそうだ。

 BEVをはじめとするゼロエミッションの商用車は、車両価格の高さなどもあって、現状ではレンタル/リース市場が主戦場となっている。調査会社のレポートによると環境意識の高まりのほか消費行動の変化などに対応するため、世界のトラックレンタル市場は急成長が見込まれる。

 運送会社がBEVトラックをレンタルするメリットはイニシャルコスト以外にもあるようで、DHLグループのCOO、マーク・ヒッチフェルト氏は次のように話している。

「ハイレーン、およびダイムラーとのパートナーシップを嬉しく思っています。このソリューションが私たちに提供するのは『柔軟性』です。多数のフル電動トラックを導入しますが、長いリードタイムは不要です。これは電動モビリティを推進し、物流のゼロエミッション化を実現するというDHLのコミットメントを裏付けるものです」。

 DHLはBEVトラック16台とCNGトラック450台、配送用の電気バン3万2400台を既に保有している。いっぽう、ハイレーンは欧州でゼロエミッショントラックを提供する商用車レンタル企業で、走った分だけの従量課金モデルで水素自動車と電気自動車の両方を提供している。

 車両の調達や登録、メンテナンス、修理、保険、エネルギーへのアクセス、CO2排出量の証明などはハイレーンが行ない、ユーザーは走行距離に応じて料金を支払うだけなので、環境にやさしいトラックへの移行が簡単に行えるという。

 ダイムラー・トラックによると欧州では道路貨物輸送によるCO2排出量の3分の2は長距離トラックによるものだといい、2024年末に同社の電動フラッグシップトラックとして導入されたeアクトロス600と、柔軟な運用が可能な従量課金モデルの組み合わせにより、物流業界の脱炭素化が加速しそうだ。

【画像ギャラリー】ハイレーンのレンタルフリートに加えられる「eアクトロス600」(2枚)画像ギャラリー

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