日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合したアーチオングループが4月1日に東証プライム市場に上場。長らく「大型四社」と称された日本のトラックメーカーは、これによりいすゞ系とアーチオン系の2つのグループに完全に収斂されたことになる。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部・アーチオン
いよいよ東京証券取引所に上場
4月1日の東京証券取引所プライム市場への上場に際しては、アーチオン代表取締役のカール・デッペンCEOに東京証券取引所の横山隆介社長より上場通知書が手渡され、上場の鐘打ちなどのセレモニーが行なわれた。
この上場に合わせて、グループを構成する事業会社では経営体制を刷新。東京都品川区の住友不動産大崎ガーデンタワーのアーチオン株式会社では、新体制下で事業を開始した。
アーチオンは、商用車のパイオニアである日野自動車と三菱ふそうの経営統合により、「商用車の未来をともに作る」という共通の思いのもとに誕生した持ち株会社である。
両社が長年培った強固な顧客基盤や生産・販売ネットワークに加え、主要株主のダイムラートラックおよびトヨタ自動車との連携により競争優位性を強みにし、燃料電池をはじめとするゼロエミッション技術や自動運転などの先進領域でシナジー創出を追求するという。
最大のポイントは海外市場での事業展開
アーチオンが今後の事業展開を図る上で最も注力すべきは海外市場である。
日野と三菱ふそうの両社(以下便宜上アーチオンと表記)は、2024年に合計23万台の3.5t超の商用車を販売している。そのうち7万5000台が日本市場で、残りの2/3の15万5000台が海外市場である。
海外市場では170カ国以上で事業を展開しているが、販売台数が多い順にあげると、東南アジア6万2000台、中東・アフリカ3万1000台、中南米2万1000台、オーストラリア・ニュージーランド1万1000台、北米9000台、欧州7000台、その他1万2000台となっている。
特に東南アジアで強みを発揮しているわけだが、最近では中国や韓国のメーカーの進出が著しい。ただ、中国とインドを除くアジア市場では未だ日本メーカーがシェア72%獲得しており、まさに日本車の主戦場なのである。
その主戦場でも、あるいは世界市場でもアーチオンの前に立ちはだかるのは、実はいすゞ自動車である。
いすゞの2024年のCV(3.5t超の商用車)の販売台数は、日本市場の7万7000台を筆頭に、アジア7万1000台、中近東3万7000台、中南米2万7000台、北米2万7000台、アフリカ1万9000台、オセアニア1万5000台、欧州1万台、中国4000台で、日本を除く海外市場で21万台の商用車を販売している。
このほか、いすゞはピックアップなどのLCVも23万台を販売。さらにいすゞグループのUDトラックスは国内1万2000台、海外1万台のCVを販売しており、つまりはアーチオンの最大のライバルは、日本でも海外でもいすゞグループということになるのだ。
攻めの姿勢に転じるアーチオン
海外事業の強化を図るアーチオンにとって、これからますます販売ネットワーク・サービスネットワークの構築に力を入れなければならないが、もう1つの課題となるのが将来技術への対応だ。
カール・デッペン社長は、CASEの中でも燃料電池や自動運転分野でのシナジー創出を加速させたいと述べていたが、そこで重要となるのが「大株主」の存在だ。
そう、ダイムラートラックもトヨタ自動車もこれまでは親会社という存在だったが、これからはそれぞれ25%の保有する大株主という存在だ。
アーチオンにとって、CASEをはじめとする将来技術の確立のためには両大株主との協業が不可欠で、中でも世界屈指の商用車メーカーであるダイムラートラックの存在は大きい。
そのダイムラートラックは、世界市場ではボルボトラックと競い合う存在だが、いすゞはそのボルボと手を携えており、アーチオン、いすゞグループとも立ち位置が非常に鮮明になってきた感じがする。
ちなみにアーチオンは、今年中に新中型トラックと新電気小型トラックを発表するという。日野の認証不正問題で長らく守りの姿勢にあったが、アーチオンの発足と共に、いよいよ攻めの姿勢に転じるか興味の尽きないところである。
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