見た目から英語では「スパイダークレーン」、日本では「カニクレーン」と称されるクレーンがあります。ミニ・クローラクレーンがそれ。ミニ・クローラクレーン、略してミニクロとは、クローラによる走行機能を有し、コンパクトなボディに4本のアウトリガを装備した移動式クレーンのこと。
トラックが入り込めない建設現場や不整地、屋内作業現場でのクレーン作業が可能で、室内ドアより幅が狭く限られたスペースへの搬入ができる「非乗車型モデル」と「乗車型モデル」があります。
このほど古河ユニックの「ミニクロ」がマイナーチェンジを実施しました。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真・イラスト/古河ユニック
古河ユニックがミニクロをマイナーチェンジ
古河ユニックは、ミニ・クローラクレーンシリーズのマイナーモデルチェンジを実施し、2025年4月24日より販売を開始した。
今回のマイナーチェンジでは、定評のある装備を未搭載機種に標準装備化。非乗車型シリーズでは、「T字型走行レバー」や「アウトリガ引き出しグリップ」などの装備を標準装備化し、操作性と作業性の改良を図った。
乗車型シリーズでは、「ブーム全自動格納」や、「作業範囲制限機能」などの高機能装備を標準装備化し、作業性と安全性の強化を図っている。
また、ミニ・クローラクレーンシリーズの中核をなすURW295Cシリーズでは、ガソリンエンジン搭載モデルを廃止し、高出力・低燃費のディーゼルエンジン搭載モデル(URW295C4)、ディーゼルエンジン・電動パワーユニット併用搭載モデル(URW295C4M)、ならびに、CO2を排出しないバッテリー駆動モデル(URW295CB3)の3機種に統合した。
主な特徴は、
1.T字型走行レバー
作業員は走行中に機体と並走して歩かなければならないが、 T字型走行レバーは、コラム背面のグリップ部と共につかみ持つことで、より繊細で安定した走行操作を可能にする。
2.アウトリガ引き出しグリップ
アウトリガのインナーボックスに引き出し用グリップを装備。引き出し作業を快適に行なえる。
3および4.アウトリガボールロックピンと差込口樹脂カバー
アウトリガのロックピンにはボールロック式を採用したので、片手でもスムーズに抜き差しが可能になった。また、ロックピンの差込口樹脂カバーは、ロックピンの使用による差込口周囲の塗装剥がれを防ぐ。
5.アウトリガ展開ピンマグネット(ワイヤちぎれ防止)
アウトリガ展開ピンの先端にマグネットを内蔵させ、機体に固定可能にした(URW295Cシリーズ)。これにより、アウトリガ展開時に、機体可動部にワイヤが巻き込まれてちぎれる損傷をなくすことができる。
6.ブーム全自動格納
作業終了時のブーム格納操作がスイッチ1つで可能になる装備を乗車型ミニ・クローラクレーン、およびURW295C4シリーズに標準装備した。 これは[1]フックの巻上後、[2]ブーム縮、[3]旋回(旋方向自動判別)、[4]ブーム伏、[5]旋回、[6]フックの格納の順に連動しブームを格納する(従来機は[1]フックの巻上機能のみ)。
7.作業範囲制限機能
狭小現場など、障害物などへの干渉の恐れがある現場で安全作業を強力にサポートする。「ブーム高さ制限」「作業半径制限」「ブーム⾧さ制限」「ブーム角度制限」「旋回角度制限」機能があり、各制限範囲は任意に設定が可能である。
8.液晶ラジコンシンプルつり荷重拡大表示
ディスプレイは、従来のクレーンの状態表示に加え、「つり荷重の拡大表示」も切換・選択することができる。拡大表示画面では、「現在つり上げている荷重」と「つり上げ可能な荷重(定格)」を強調した表示になる。 なお、つり荷重の表示は、従来通り10kg単位で表示する高精度仕様のままである。
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