「ケンクラフト」はトラック・建機専門のホビーショップ。今回は、その店主・ケンさんが今日和(株)から依頼された路面切削機運搬専用トレーラの模型をオーダーメイド!! 模型職人は実物からどうやってモデル化しているのか!? 知られざる裏側を開陳してくれます。
文・写真/KENKRAFT 高石賢一
取材強力/今日和株式会社
*3月10日発売トラックマガジン「フルロード」第56号より
今日和の路面切削機専用トレーラ
札幌に本社を構える今日和(株)は、2001年に創業した道路切削を専門する企業。ドイツ製ヴィルトゲンW210FiをはじめサカイER552F、ER555F等の大型路面切削機をラインナップして道内で26名の精鋭が日夜活躍している。
ご存知のように日本の道路運送法は重機運搬には重量・サイズに関して厳しく、同社ではこれらの路面切削機運搬専用トレーラとしてトーヨートレーラに製作を依頼した。
同車の全幅は、2800mmとよくある16輪トレーラより幅が狭く、広い北海道とはいえ利点があるだろう。
全長は約12mだが荷台面は載せる路面切削機のクローラ位置、タイヤ位置に合わせたレイアウトとなっている。最大積載重量は37tを誇り3軸、12輪で支える。
このトレーラを牽引するのはスカニアR650・6×4だ。スカニアもトレーラも意匠やカラーリングだけでなく機能や使いやすさにこだわりを感じる。
これで現場に入れば現場の人たちも仕事のテンションが上がるのは間違いない。カッコいいトレーラは人をワクワクさせる効果があるのだ。
これはランボルギーニやフェラーリを見たときと何ら変わらないし、仲間が乗ってきた仕事車に親近感がわき、カッコよく仕事ができてしまう魔法のような力さえある気がしてくる。
1/50スケールで模型を制作
今回は今日和様から1/50スケールで模型制作を依頼され、トレーラ部分が完成した。
各イベントで展示され全国で有名なカラーリングはカッコいいと人気がある。スカニアは別途WSIに制作を依頼しているので、いずれ製品化される予定だ。
さて模型を作る工程としては、まず実車取材、図面があれば参考にする。今回の場合は実機取材から3Dデータを制作会社に発注。この時点で悩ましいのがパーツ割だ。
1/50とはいえ全長約240mmと長いし、左右の形状はコの字でフックも装備、上面は段差あり、リアエンドは自動あゆみ付きで複雑なデザインなのだ。
3Dプリントの利点は何といってもどんな形状でも三次元の立体物としてカタチになることだ。ひと昔前なら模型職人(筆者もそうだが)が図面を見ながらプラ板か木を切ったり貼ったりしてカタチにしていた。
物によっては何カ月もかかるのだ。極小パーツは手で作るには限界がある。3Dプリントはデータさえ作れれば0.3mmの細いものも再現できてしまう。
さて、今回はその3Dの性能を最大限に発揮してパーツを制作。トレーラ本体は左右の突起もあるので左右割でプリント。あゆみ板や上面にある木の部分、タイヤ、ホイール、細かいフック等パーツ数はかなり多い。
サンドペーパーで表面を仕上げ、塗装、細いストライプも難関でかなり面倒な作業だ。時間は掛ったが、実車の雰囲気を見事に再現できたのではないかと思う。
自社の車両の模型にはどんな効果が期待できるだろうか。社長の趣味、会社玄関に展示、展示会に飾るなど100社近くの模型を作らせていただいたが、どの会社の方も士気が高まるのを感じた。
たかが模型だが自社の車両が模型になっただけで嬉しい、カワイイ、なんかやる気が出る、会社、車両に愛着がわいた、そんな感想をいただいた。
対外的には取引先に置いていただいて、より親近感を持ってもらえる効果が期待できる。新規開拓で差し上げておけば名刺はしまってしまうが、模型は飾ってくれる。
ふとしたタイミングで模型が目に入り仕事の連絡が来たよ、というお話も伺った。たかが模型されど模型。プロモーション、プレゼンテーションの道具のひとつとして、どういうものを作ったらいいのか? どうやって使うと効果が発揮できるのか? また機会を見つけてお伝えしましょう。
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