自衛隊を退職する人は年間約8800人(2022年度)。その多くが「大型自動車運転免許」を持っている。任務に必要な「資格教育」に加えて道路交通法の特例により、自衛隊では最初から(普通免許を取得ぜずに)大型免許が取得できるからだ。
そんな人材に人手不足のトラック業界が着目し、このほどUDトラックスのエクスペリエンスセンターで「大型トラック運転体験会&業界・企業説明会」が開催された。果してどんな催しだったのか?
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
自衛官が3台の最新型クオンに試乗
2月5日にこの運転体験&企業説明会を主催したのは、国土交通省関東運輸局埼玉運輸支局と埼玉県トラック協会(埼玉ト協)。UDトラックスも全面協力し、開催場所として同社の「エクスペリエンスセンター」と3台の大型トラック「クオン」を提供した。
物流業の担い手確保の一環である今回の自衛官の運転体験会&業界・企業説明会には、埼玉県下の駐屯地や基地から18名の自衛官が参加。また、埼玉ト協傘下の6社の物流企業も参加した。
プログラムとしては、まず物流業界の担い手不足解消に向けての行政の取り組み、物流業界からはトラック業界の現状と役割、仕事の魅力などが説明された。
ついで、18名の参加自衛官は「クオン」に試乗。電子制御ステアリング「UDアクティブステアリング」や電子制御式オートマチックトランスミッション「ESCOT-Ⅵ」を搭載する最新のクオンで運転操作性や安全性、快適性を確かめた。
会場には6社の運送事業者の個別ブースが設けられ、会社の特徴をアピール。また参加した自衛官からの質問にも答えていた。
再就職先に物流業界を!
退職する自衛官の活用を図るべく、深刻な担い手不足が続いているトラック、バス、タクシーなど自動車運送業や自動車整備業に「即戦力」として推奨する活動は、昨年から国土交通省が音頭を取り、防衛省や業界団体と連携して行なっている。
実は、多くの自衛官は50代半ば(若年定年制自衛官)や20~30代半ば(任期制自衛官)で退職するそうで、その人数は令和4年度で合計約8800名に達するという。
また、職業訓練を通じて年間1500名程度が大型自動車運転免許、普通自動車第二種運転免許、自動車整備士等の資格を取得している。退職自衛官は自動車運送業や自動車整備業にとって、まさに期待の「即戦力」なのである。
このため、国土交通省・防衛省・業界団体(日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会、全日本トラック協会、日本自動車整備振興会連合会)との間で申し合わせを締結し、全国各地で業種説明会や運転体験会等の取り組みが実施しやすい環境が整備された。
こうすることで、退職自衛官の自動車運送業や自動車整備業への再就職を後押ししている。今回のUDエクスペリエンスセンターでの催しもその一環で、関東地方では初の試乗会&説明会となる。
参加した自衛官の小田林朗友氏(埼玉地域援護センター長)は、
「定年退職が間近となったが、その業界の内容を知らないと次の就職の方向性を見い出せないので参加しました。トラックは長時間運転するので疲労が多いと思っていましたが、(話を聞いて)自分がイメージしていた以上にしっかりと仕事できる環境が整っている業界と感じました。
試乗したトラックは、ふだん自衛隊で運転しているトラックより進化していることを直に感じました。とても勉強になりました」と語った。
【画像ギャラリー】退職自衛官の運転体験会&業界・企業説明会の様子(6枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方ぶっちゃけ自衛隊上がりの方々は
使い物にならないケースが多いんだよなぁ…