日本以上にすさまじいコロナ禍にあえぐインドだが、本来インドは、平均年齢が28歳と日本より20歳も若い、エネルギッシュで生命力溢れる国である。
もう8年も前になるが、インドを訪れた際の印象はとても衝撃的で、未だに忘れられない。「頑張れインド!」の思いを込めて、活気に満ちた街角と交通事情をもう一度ご紹介しよう。
写真・文/フルロード編集部
2013年8月発売「トラックマガジン「フルロード」第10号より
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■南アジアのデトロイト 活気溢れる南インド・チェンナイ
バンコクでの5時間のトランジットを経て、成田空港を飛び立ってから12時間、ようやく到着した南インド・チェンナイ空港は、ことのほか暑かった。気温ばかりでない、現地時間でも深夜零時近いというのに、すごい人混みで、人いきれでムンムンとしている。
都市圏人口800万人、インドで4番目に大きな都市であるチェンナイは、「南アジアのデトロイト」と称され、今や自動車産業、情報技術産業の一大拠点として世界的にも注目の地域だ、深夜でも熱気と活気が感じられるのはそのせいかもしれない。
今回のツアーは、三菱ふそうが発表したFUSOブランドのアジア・アフリカ向け戦略車のラインオフに合わせ、生産拠点となるチェンナイのDICV社(ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルス)を訪ね、さらに新型車に試乗しようというもの。
その間、駆け足ながら南インドの交通事情・トラック事情を垣間見ることができたので、ご紹介しよう。
■驚きの連続 すさまじきインドの交通事情
インド・チェンナイの交通事情は「すさまじい!」の一言である。どういったらいいのだろう、要するに「われ先運転」「スピード命!」で、「譲り合いなどクソ喰らえ」といったふう。交通法規やルールを遵守する日本のドライバーは、ここチェンナイではまず怖くて走れないのではないか。
たとえば、スピードの出し過ぎを制限するために、幹線道路のあちこちに鉄柵やドラム缶などで「シケイン」が設けられているのだが、このシケインが上下線共用で、早い者勝ち。
すなわち早く到達したほうが先に通過でき、負けたほうは停まって待たなければならないので、遠くに対向車が見えたら一段とスピードアップするのである。ヘタをすれば正面衝突で、まるでチキンレースのよう。
また、街の中心部を出ると信号はほとんどなく、あっても当然のごとく無視するから、歩行者が道路を横断するのも命がけである。
人間ばかりではない。インド名物の野良牛さん以下、ヤギや犬やニワトリや猿まで道路にはみ出してくるので、「ヤバイよ~、ヤバイよ!」の連続なのだ。