元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.82

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.82
追想記(並走車14)
トラックドライバーに皆さんが考えているスピードとは、一体どんなものなのか考えたことがあるだろうか? 出発地から到着地までの時間の計算は誰もがするだろう。当然のことだ。しかしながら、高速上での僅かなスピードの計算をしたことがあるのだろうか?
多くのドライバーの方が「一体何の計算?」と、思っているのではないか。
私が言いたいのは、スピード差の計算のことを指している。
並走車11)で、すでに計算済みのことで、時速80kmと90kmの東京ゲート~大阪吹田間の約500kmで、約45分の到着時間の差が出たのを思い出していただきたい。しかし、これは順調に何事もなく走った場合なのは今まで説明して来た通り、実際には前には80km/hで走っているトラック、乗用車が障害になるのと、登り坂でのスピードダウンが影響し、平均スピードは大きくダウンしてしまう。以前だと、下り坂でそのカバーが出来ていたものが、リミッターがあるためにそれも出来ない。運良くスムーズにいった場合での、平日だとその半分の22~23分の違いでしょう。それが、同じリミッター装着のトラック同士だと、時速1kmや2kmの時間差の競争をしているに過ぎない。
時速1kmのスピード差は、高速を走っていると案外感じるもので、数字以上の間隔で前のトラックに追い着いてしまうし、追い着いた後もノロく感じられる。そこで、つい追い越しをかけるのだが、そのあり方が凄まじい。いきなり右側車線に出てくるトラックが現在では当たり前のようにいる。
たった時速1kmの差……。それは東京ゲート~大阪吹田間の時間に直すと、
500km÷90km/h=5.555・・・。
時間の単位に直すと約5時間33分。
500km÷91km/h=5.5945。 
時間に直すと、約5時間36分。
時速1kmの差は、東京~大阪間では3分の差でしかないというのが解ってもらえると思います。それも、スムーズに走れた場合であり、つっかえもっかえ走ると、ほとんど差がない状態と言わざるを得ないのが現実なのです。
さて、こんな時間差しかないのにも拘らず、「そうは言っても、前が少しでも遅いと追い越したくなるし……」そう考えているトラックドライバーの皆さん、もう一度考えてください。
右側をそのようなスピード差で追い越そうとしていきなり飛び出し運転をし、乗用車に急ブレーキを踏ませている。その乗用車のドライバーはトラックの運転手にどのような印象を抱くか……。次に譲りましょう。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
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