開発主査に聞く新型日野デュトロの概要 (1)

開発主査に聞く新型日野デュトロの概要 (1)

昨日発表された新型日野デュトロだが、やはり新型車の狙いや技術的特徴は、開発陣に話してもらうのが一番だろう。まずは新型日野デュトロ全体のとりまとめ役である製品開発部小型トラック担当の熊坂正弘チーフエンジニアの話をご紹介しよう。

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開発コンセプトと変更の概要

まずは開発のコンセプトですが、「ジャストフィット」を開発コンセプトとしました。これは、ビジネスに儲かる、ドライバーに使って嬉しい、そしてクルマ選びにみんなが選んでいただける、これをコンセプトにしています。

次に新型デュトロの変更の概要ですが、まずは外観です。これは12年ぶりのデザイン一新ということになります。デュトロは、小型幅の1700㎜幅の狭い方の標準キャブと2000㎜幅のワイドがありますが、どちらもモデルチェンジしております。それから外観の変更に合わせまして、内装も一新しています。
また、排ガス規制の対応ですが、これは尿素水を使わない新しいDPRシステムを採用しています。このシステムは昨年から私どもの中型トラックで採用しているシステムをベースとしたDPRシステムです。
そして、やはり燃費の向上です。目玉としましてはハイブリッドシステム(HV)が、燃費向上としては一番大きなアイテムとなります。しかし、HVだけではございません。一般のディーゼルについても燃費向上は図っています。燃費基準車の拡大、それから実燃費の向上を図っています。これはエンジンそのものの改良、それからアイドルストップシステムの追加、さらにエコランシステムの追加、また、キャブを変更するに合わせて空力も改善しました。これによって実燃費の向上を図っています。
それから我々が開発を進めて行く上でこだわったのが安全性です。これは、これまでの現行モデルでも好評を博していましたが、まずはワイドビューピラー、非常に細いピラーを採用しています。次にワイドビューミラー、非常に死角の少ないミラーを採用しています。また、小型トラックでは世界初となりますが、大型車や乗用車で一般的になっておりますVSC、これをオプションではございますが、今回のモデルにも採用しました。法規対応としては、この小さなクルマの世界にもFUP=フロント・アンダーラン・プロテクターの法規がありますので、これにも対応しています。
車型の拡大については、やはりHVをより多くの人に選んでいただきたいということがありまして、HVの車型の拡大を図っています。さらに免許制度の関係で徐々にAT限定の免許を保持している方が増えてきました。これに対応するためにAT車も拡大しています。
乗り心地に関しては、非常に好評を博しております独懸車でございますが、今まで2トン車にしか採用していませんでしたが、これを3トン車の一部にも採用しています。

デザインのテーマは「スマート&デライト」

それでは各項目についてご紹介していきたいと思いますが、まず12年ぶりの内外装一新について…。デザインのテーマは「スマート&デライト」にしました。「賢く使えて、お客様に喜びを」ということで、デザインを進めてまいりました。

まずはワイドキャブですが、ワイドキャブは全て一新しました。標準キャブは、国内固有の法規・規制ということで、4ナンバーの規制がございますので、大きく骨格を変えることができませんので、骨格は流用しています。しかし、前回りを中心としたところ、それから内装を一新してございます。

外観のデザインですが、外観デザインでこだわったのが、やはり燃費にも直結する空力性能です。ワイドキャブは、ドライバーさんに乗っていただくキャビンの部分は広く、前にいくに従って狭くなる前絞りのデザインを採用しています。併せてコーナーのRを大きくとることによって空力性能の向上を図っています。競合車さんと比較しても25~30%空力が良くなっているという結果が出ています。それからデザイン面ではフロントのバンパーからドアショルダーへ突き抜ける造形で力強さ、ダイナミックさを表現しています。

またデザインのオリジナリティについては、フロントのグリルからフロントパネルへ突き抜けるという造形でオリジナリティを出しています。いわゆる逆ハの字の造形ですが、日野自動車の中でも大型・中型のクルマを見ていただくと分かるんですが、やはりこういう逆ハの字の造形を取り入れていますので、今回デュトロでも採用して、日野自動車としての統一性を出しています。今回採用したグリルは日野のHにも見えるというところがもう一つの特徴です。この考え方はナロー、ワイド共どちらとも採用しています。

次にパッケージですが、まずワイドキャブですけど、ステップを大きく拡大しています。また、ドアを開けたオープニングも上、前、それから足元も大きくするということを実施しています。シートの着座可能身長ですが、これも現行車に比べて拡大を図っています。シートスライド量も大きく60㎜増やしています。居住性を良くするための一つのアイデアですが、シートをスライドさせるシートレールを斜めに配置しています、角度を6度前に傾けたのですが、これによって小さな人がシートを前にした時には、椅子が低くなります。ですからペダルや床に対する足つき性というのが非常に良くなっています。逆に大きな人が後ろにシートをスライドさせますと、シートが高くなる……、小さな人から大きな人まで、実にリラックスした姿勢がとれるように工夫しています。

標準キャブは、大きく骨格は変えませんでしたが、いろいろ工夫をこらしまして、これまでセンター席の足元が狭いということで、いろいろご指摘を受けておりました。これもインパネの形状変更、エアコン関係のコンパクト化を図って、楽に足がつけるように改善を図っています。

内装デザインに関しては、ともすると単調になりがちな内装デザインですけど、今回は動きのある、わくわく感のある立体というところを表現しています。特に特徴的なのがワイド/ナローともに採用していますが、非常に大きなトレイがまず乗り込んだ時に目に入ってきます。それとボトルホルダーを両脇に…。ワイドキャブはセンターにもボトルホルダーを設定しています。 (つづく)

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